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記事2005年10月13日 1996号 (3面) 
産学連携 (2) ―― 亜細亜大学
日本政策投資銀行と包括連携協定締結



 亜細亜大学(池島政広学長、東京都武蔵野市)と日本政策投資銀行(本店=東京都千代田区)が八月九日、同大学で「大学院教育、産学連携、技術経営、地域連携、国際展開等の分野において、相互の協定を推進していくこと」を目的に包括連携協定を締結した。池島学長に包括連携協定について、その狙いや内容等について伺った。


行動する大学人 メッセージを発信
アジア中心に国際展開で社会貢献


 ――包括連携協定を締結するまでの経緯は。
 学長 本学と日本政策投資銀行は昨年度から二〇〇六年四月に開設する新大学院「アジア・国際経営戦略研究科」(池島委員長)の設立について、相互に情報交換を行ってきました。こうした個別の協力体制を全体の組織的で包括的な連携へと発展させ、双方の機能、経営資源を幅広く活用しようとする方針です。
 ――具体的な連携の内容はどのようなものになりますか。
 学長 教育面では大学院教育における、産業界のニーズに対応したカリキュラム開発です。研究としては、日中ビジネスの成功要因にかかわる調査・研究、地域経済活性化にかかわる調査・研究、企業の技術経営に関する支援の強化、産学連携による新ビジネス創出に関する調査・研究です。
 ――産学連携の分野ですが、社会科学系の大学では珍しいように思いますが。
 学長 そうですね。その点、新しい試みだと思っています。本格的に取り組んでいきます。企業とは本音の議論ができるベースが必要で、一緒に勉強したいと思っています。学生、特に留学生を企業に連れて行きますと、企業の方から留学生に質問をする場合が多くなりました。これは面白い現象だと思いました。産学連携を大学全体として取り組んでいく必要があります。
 ――今後の連携の方向性はどうですか。
 学長 この協定締結を契機に、日本政策投資銀行の持つ金融・経済を中心に幅広い知識と経験を活用し、アジアを中心とした国際展開などで、社会貢献を行っていきます。これからは間違いなく国際的な大学連携、産学連携の時代に入ると思います。連携のメリットは、お互いが違うところを持っているから連携が成り立つのです。お互いのアイデンティティを見直す重要な形になってくると思います。
 私は“行動する大学人”ということを提唱しています。大学が連携しますと、自らの大学は何ができるのかということが問われてきます。大学全体としてのメッセージを強く発信して実行していく必要があります。本学をアジアや中国研究の拠点にしたいのです。
 ――もう一つの取り組みとして「地域産学公」との連携にも力を入れているようですが。
 学長 昨年四月に地域産学公連携推進室を設置し、自治体を巻き込みながら、地域の産業界の方々と連携して地域活性化に取り組んでいます。学生の自発的な参画を促し、実社会でのフィールドワークを通じて問題発見・解決能力を高めていきたいと思います。


アジア・国際経営戦略研究科誕生


 ――ところで、来年四月に、新しい大学院「アジア・国際経営戦略研究科」が誕生します。なぜ、アジアなのですか。
 学長 本学のミッションはアジアと日本の架け橋となる人材養成です。
また、五十年前から中国からの留学生約百人を受け入れ、現在、他国の留学生を含めて約四百五十人(このうち七割が中国)に及んでいます。また、大学は昨年度から「アジア夢カレッジ―キャリア開発中国プログラム―」に取り掛かっております。
 ――新大学院では、どのような人材を養成しようとしているのですか。
 学長 いまビジネスの現場で求められているのは、二十一世紀のアジアおよび中国をグローバルな視点でとらえ、より大きな枠組みで経営戦略を立てられる専門的な知識と能力を持った人材の養成です。私は以前から、とりわけ、世界の市場である中国でのビジネス展開を発想し行動できる戦略思考の人材の養成が、日本の産業界にとって重要と考えておりました。中国に進出している日系企業を視察し、ヒアリングを繰り返した結果、このような人材の養成が急務であるという確信を得ました。したがって、アジア・中国の日系企業で、マネジメントを任せられる人材の育成がこれからのカギになります。



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