こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2005年10月13日号二ュース >> VIEW

記事2005年10月13日 1996号 (1面) 
私立校83%が経営危機感
私学事業団 私立校経営改善方策に関するアンケート報告
 先の見えない少子化傾向の中で私立高校の経営者の八三%は、今後の学校経営に強い危機感を募らせているものの、「早期退職者に対する退職金の割り増し制度」や「人事考課制度」、「能力給制度」を導入実施する学校は依然低調で、五年前と比べ大きな変化は見られなかったことなどが、このほど、日本私立学校振興・共済事業団(鳥居泰彦理事長)がまとめた報告「私立高等学校の経営改善方策に関するアンケート報告――魅力ある学校を目指して」で明らかになった。

 この調査は昨年六月から七月にかけて私立高校を設置する学校法人を対象に実施したもの。通信制課程及び定時制課程のみを設置する高校は対象外。調査対象校の内訳は、大学法人三百十三(四百五十六校)、短大法人百三(百十九校)、高校法人六百六十一(七百二十八校)で回答率は八六・一%。
 調査結果によると、今後の経営に対する危機意識については、八二・九%の高校が「非常にある」、また一一・〇%の高校が「少しある」と回答。「あまりない」「ほとんどない」と回答した高校は合わせて〇・九%(十校)に過ぎなかった。
 しかし危機意識は強いものの、「人事考課制度」「能力給制度」「早期退職者に対する退職金の割り増し制度」に実際踏み切った高校は、それぞれ一六・九%、四・四%、三〇・六%に過ぎず、五年前調査との比較でも、それぞれ五ポイント、一・三ポイント、六・九ポイントの増加にとどまっていた。
 検討中とした高校もあるが、「予定はない」と回答した高校がそれぞれ四一・七%、五七・九%、五〇・四%もあり、教職員の処遇面の改革にはなかなか一歩が踏み出せないようだ。
 それでも人事管理に関して各高校はさまざまな工夫・見直しを進めており、講師・教員派遣会社の活用など人材の外部委託、外部コンサルタント機関による評価、給与・手当ての見直し、生徒による授業評価の導入、役割の明確化、民間企業からの校長登用、法人全体での人事異動の検討などの取り組みが見られた。
 教育内容面でもさまざま教育制度・教育内容が実施されていた。その中で最も多かったのが(複数回答)、「授業についていけない生徒のための補習・補講の充実」で六八・二%、次いで「シラバス(授業計画)の作成」(五七・〇%)、「進路別クラス編成」(五六・六%)、「習熟度別クラス編成」(五六・四%)、「有名大学への進学強化」(四九・七%)、「特色ある学科・コース」(四五・八%)、「ボランティア活動の強化」(三九・〇%)などが上位を占めた。
 生徒募集活動に関しては、「自校での見学会・体験入学」「ホームページの開設」「中学校への訪問」「学校案内書(要覧)の刷新」「ポスターの作成」が実施率上位で、五年前調査と比べ「自校での見学会・体験入学」「ホームページの開設」の実施が増加、「学校案内書(要覧)の刷新」の実施が減少していた。
 その中で特に効果があったと高校の評価が高かったのは、(1)「自校での見学会・体験入学」、(2)「中学校への訪問」、大きく離れて(3)「ホームページの開設」で、反対に「テレホンサービス」「ネット広告」「民間業者へ大半を委託」「少年誌・少女誌での広報・広告」を評価した高校はゼロだった。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞