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記事2005年1月3日 1965号 (1面) 
平成17年度私学関係政府予算案の詳報
特色ある教育私学へ支援強化
高い伸び率のIT関連補助
経常費補助 高校等生徒一人一%弱の伸び
昨年十二月二十四日に閣議決定された平成十七年度政府予算案のうち私学関係予算の詳細がこのほど明らかになった。それによると、社会的要請の強い特色ある教育や意欲・可能性に富んだ私立学校を重点的に支援する傾向がさらに強まっている。また、国公私立大学を通じた大学教育改革への支援事業では、新たに国際化推進や教員養成推進プログラムなど四つの事業が立ち上げられ、競争原理を生かした重点支援はさらなる広がりを見せている。

 平成十七年度私学関係政府予算案のうち、私立大学等経常費補助金については、「聖域なき歳出見直し」の中、少子化等を踏まえた減額が懸念されたものの、大臣折衝の結果、三十億円増額し三千二百九十二億五千万円となったが、内訳としては、「一般補助」が前年度比四億七千万円減額する一方で、「特別補助」「私立大学教育研究高度化推進特別補助」が合わせて三十四億七千万円増額している。
 一般補助はここ二十年ほど漸減傾向を続けており、同補助金全体に占める特別補助と私立大学教育研究高度化推進特別補助の比率は、合わせて三三・四%に拡大している。
 また特別補助では、私立大学等における社会人の受け入れや、インターンシップの推進などへの支援が充実され、私立大学教育研究高度化推進特別補助では法科大学院に対する支援の充実等が図られている。
 大学等と同じく大臣折衝の結果、前年度に比べ五億円増額し一千三十三億五千万円となった私立高等学校等経常費助成費等補助金は、(1)一般補助が九百六億六千六百万円(2)教育改革推進特別経費、幼稚園特殊教育経費、過疎高等学校特別経費及び授業料減免事業臨時特別経費からなる特別補助が九十五億六千九百万円(3)教育改革推進モデル事業が六億二百万円(4)特定教育方法支援事業(広域通信制課程支援経費、特殊教育経費、農業教育支援経費)が二十五億一千三百万円――との内訳となった。このうち全体の約九割を占める一般補助では、高校が生徒数減少によって補助総額を減らしているが、生徒一人当たり補助単価では、小・中・中等教育学校とともに前年度比で○・七七%増額している。幼稚園は○・九一%の増額。
 政府の公共事業関係費抑制方針から、施設補助の「私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助」と「私立高等学校等施設高機能化整備費補助」は、前年度比それぞれ一四・五%、三・五%減額し、百四十三億四千九百万円、十八億七千八百万円にとどまった。その中にあって私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助の「情報通信施設」(マルチメディア施設改造工事等)は前年度比五八・〇%増、「私立大学等防災機能等強化緊急特別推進事業」(耐震補強工事、施設のバリアフリー化工事)は二九・三%増と高い伸びをみせた。
 私立高等学校等施設高機能化整備費補助の内訳は、高機能化整備費補助が八億三千万円、防災機能強化施設整備費補助が九億一千四百万円、私立学校エコスクール整備推進モデル事業が一億三千四百万円。この中で防災機能強化だけが前年度比一千四百万円の増額。
 一方、設備補助の「私立大学等研究設備等整備費補助」と「私立高等学校等IT教育設備整備推進事業」は、前年度比それぞれ四・八%、八・八%増額している。私大等研究整備の中の「研究設備」は前年度比一二・六%伸びており、私立高校等IT補助は十四年度の事業開始以来増額を続けている。同補助は私立高校・中等教育学校・中学校・小学校・特殊教育学校のコンピュータ等IT環境整備を目的にしている。このほか関係方面から強い要望のあった私立学校施設高度化推進事業費補助は、前年度比倍増の十一億八千九百万円となった。
 この補助は、(1)日本私立学校振興・共済事業団の融資を受け行われる老朽校舎(築三十年以上)や危険建物と認定された旧耐震基準の学校施設(昭和五十六年以前の建物)の建て替え整備事業に十年間利子助成する。
 また(2)平成八年度以前に実施された学校施設の整備事業のうち、私学事業団からの借り入れ利率が四%以上で、かつ当該施設を活用した新たな教育方法の改善、研究の高度化の計画を有しているものについて、十七年度分の返済に対する利子助成を行うもの。

地域医療等の要請に対応
国公私通じた改革支援を充実


 国公私立大学を通じた大学教育改革の支援に関しては、これまでの「特色GP(三十三億円)」「現代GP(三十億円)」「二十一世紀COE(三百八十二億円)」「法科大学院等専門職大学院形成支援(十八億円)」に加えて、新たに「地域医療等社会的ニーズに対応した医療人教育支援プログラム(七億五千万円)」「大学教育の国際化推進プログラム(二十四億円)」を設ける。前者は大学病院における全人的医療等を担いうる医療人の養成を目指す優れた取り組みを支援する。後者は海外の大学との連携等による教育活動等の取り組みを支援する。また若手研究者に新たに求められている資質、自立して研究活動を行うための能力を、組織的かつ体系的に修得させるための教育プログラムを重点的に支援する「魅力ある大学院教育イニシアチブ(三十億円)」を新設する。このほか、教育現場の課題に即応した実践的な教育等を実施し、高度な専門性と実践的な指導力を備えた義務教育段階の教員の養成に取り組むプロジェクトを支援する「大学・大学院における教員養成推進プログラム(五億五千万円)」を新設する。

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