こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2005年1月3日号二ュース >> VIEW

記事2005年1月3日 1965号 (4面) 
IT活用し学力向上へ
文科省の検討会が初会合
学校教育の情報化検討
情報教育の内容充実も
文部科学省の「初等中等教育における教育の情報化に関する検討会」が一月六日、東京都内で初会合を開き、平成十八年度以降の学校教育の情報化の姿と、情報教育の内容の充実策などの検討を開始した。今回の検討会ではITを活用しての児童生徒の学力向上策や携帯電話の普及等も考慮した情報教育のあり方を検討することにしており、十七年度末までに検討結果を取りまとめる予定で、中央教育審議会が現在進めている義務教育の抜本的見直しにも検討結果を反映させる意向。

 同検討会は大学の教授や小・中・高校の関係者、地方自治体の首長ら二十人で構成されている。座長には清水康敬・メディア教育開発センター理事長が、また副座長には赤堀侃司・東京工業大学大学院社会理工学研究科教授が就任した。
 この日は初会合のため、自己紹介を兼ねて各委員が情報教育に対する意見や取り組み状況などを報告したが、現在、小学校や中学校などで行われている情報教育に関しては、「いろいろ問題が見える。中身が乏しい」「情報化は混とんとしている。(都道府県などで情報化の取り組みに)温度差が感じられる」「IT活用に教育現場は戸惑っている。教育内容が明確ではないので、学力保証の点から後回しにされている」といった指摘が複数の委員から聞かれた一方で、先進的な実践も報告された。
 事務局からの実情報告でも小・中・高校におけるLANの整備率は、最下位の東京都(八・九%)と最上位の岐阜県(八四・七%)では十倍もの開きがあり、コンピュータで指導できる教員の割合でも同様の傾向が出ている。取り組みの遅れは、各地方自治体が財政的に逼(ひっ)迫(ぱく)してきていることが影響しているものと思われるが、IT導入と学力上の効果が明確になっていないことを、遅れや自治体の温度差≠フ理由に挙げる委員も見られ、ITによる学習効果のPRの必要性が指摘された。
 同検討会では、今後に関しては、現行の政府の「e―Japan重点計画(平成十七年度まで)」の後の学校教育の情報化のあるべき姿、情報教育の内容の充実に関しては、小、中学校段階からの情報教育の充実、携帯電話の普及や情報社会をめぐる状況変化など新たな課題への対応を検討する。
 情報教育の内容の充実に関しては、当面、「情報活用能力の育成」の促進に資する「手引き」等を作成、配布する予定にしており、学習指導要領の見直しも視野に入れている。今後は三月に、学校教育の情報化の今後の姿について論点を整理、九月ごろには指導のための「手引き」を策定、来年三月には最終報告を取りまとめる予定。
 政府の現在の重点計画では、平成十七年度時点で各学校のIT環境は、コンピュータ教室に四十二台のパソコン、各普通教室に二台のパソコン、特別教室に六台のパソコン、すべての教室がインターネットに接続することの達成が目標。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞