こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2005年1月23日号二ュース >> VIEW

記事2005年1月23日 1966号 (1面) 
私大資源活用する科学技術基本計画を
私大団体連
必要な研究基盤の抜本的整備
科学学術審特別委に意見表明
日本私立大学団体連合会(安西祐一郎会長=慶應義塾長)は、一月十四日、科学技術・学術審議会基本計画特別委員会の会合で、私立大学の立場から意見を述べた。
 安西会長は「第三期科学技術基本計画は、三十年後のわが国と世界のあり方への長期的戦略のもとに策定されるべき」としたうえで、「大学教育の七五%を担う私立大学の教育・研究から創出・保有する資源を有効に活用することは、人的および知的財産の拡充に不可欠」と主張した。
 同連合会で教育改革委員会・私立大学将来構想委員会委員を務める、東洋大学の菅野卓雄理事長は、国立大学の理工系学部学生の比率は五五・四%であるのに対し、国立大学の四倍以上の学生を教育する私立大学では二四・三%でしかない(文部科学省調べ)理由を「学生数四百人の場合で比較すると、人文系学部の校舎面積で約二倍、教員数で一・四倍、機械・器具などの設備経費で約二十倍の経費が必要」と説明。理工系学部学生増支援措置を講じること、大幅な奨学金制度の財源確保を要望した。
 さらに、ポストドクトラル制度は研究活動の活性化に資する点は多いが、若手研究者の使い捨てになることもあり、放置すると社会問題になる恐れがあると指摘。その対策に必要な日本版テニュアトラック制度の導入を私立大学に求めるなら、財政支援が必要と話した。
 またCOEの採択状況から、国・私間の研究水準に差があるのは明らかであるが、原因の一つは 「現実に優れた研究成果を挙げている組織に重点的に配分される傾向」があるからであり、長年にわたって膨大な国費を投入してきた国立大学と私立大学を現時点での業績で比較し、国立大学に 「競争的資金」を投与することの矛盾を示唆。これを解消するには、私立大学における研究基盤の抜本的な整備を施策の眼目とすることが必要と主張した。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞