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記事2004年9月3日 1946号 (1面) 
教育のあり方を論議  経済財政諮問会議
義務教育財源確保方策引き続き議論
文科相 私学助成問題にも言及
 地方六団体が国庫補助負担金改革案をまとめたことを受けて、政府の経済財政諮問会議を舞台とした三位一体の改革論議が八月二十四日に再開された。早速、河村建夫・文部科学大臣が出席して義務教育を中心に教育のあり方が話し合われた。
 河村大臣は先に公表した河村プラン(小中一貫教育や教員免許の更新制実施など)を報告、改革の方向性について特に異論はなく、改革のスケジュールや具体案を詰めて改めて諮問会議に報告することになった。また国庫補助、国の関与がなくなると、地域間で格差が開くという主張を裏付ける実態調査結果も河村大臣が諮問会議に報告することになった。
 さらに義務教育の機会均等、教育水準の確保、財源保障の必要性に関しては概ね合意が見られたが、財源の確保の仕方については、国庫補助とするのか、一般財源とするのかについては引き続き議論する。この中で麻生太郎総務大臣は、財源のルールが明確化していれば国庫負担金である必要はないと主張した。
 このほか議論にはならなかったものの、河村大臣は、高校教育は県立と私立の二重構造になっており、「実際に頑張っているのは、実は私学という面もある。甲子園でも私学が活躍している」とし、今回の国庫補助負担金廃止では私学助成も地方交付税と言われていると問題点を指摘した。
 教育の基本論については、今後政府内に設置される「日本の二十一世紀ビジョン研究会」に引き継がれる予定。
 八月二十六日の経済財政諮問会議では河村大臣が出席して人間力の強化に向けた取り組みが話し合われた。この中で民間議員から教育サービスへのバウチャー制度の導入が提案され、人間力強化に関しては内閣府と厚生労働省が共同で研究、教育のバウチャーについては文部科学省が引き続き検討することになった。
 八月三十一日の諮問会議では地方交付税の総額などをめぐって縮小を主張する財務大臣と適切な財源調整・財源保障の必要性を強調する総務大臣等で議論が交わされた。財務大臣からは地方六団体の改革案にはスリム化の視点が欠如しているなどの指摘もあった。

地方6団体 改革案正式提出

 全国知事会など地方六団体は、八月二十四日、小泉首相に、三位一体の改革に向け策定した「国庫補助負担金等に関する改革案」を正式に提出した。その後、六団体の代表は経済財政諮問会議に出席、概要を説明した。
 地方六団体が国庫補助負担金改革案の提出の条件としていた国と地方との協議機関の設置については、小泉首相が設置を決め、人選など詳細は細田官房長官のもとで決められることになった。
 今後、経済財政諮問会議は三位一体改革の枠組みなどを検討、国と地方の協議機関では具体的・個別的事項を協議、地方の意見の反映を図る。
 地方六団体の改革案には巻末に義務教育費国庫負担金廃止反対など十三都県の知事の意見が付記されている。

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