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記事2004年9月3日 1946号 (2面) 
規制改革・民間開放推進会議 中間まとめを発表
株式会社等の学校にも助成、優遇税制を
文部科学省 「憲法上問題ある」
公設民営の解禁も支障懸念
 小泉首相の諮問機関で総合規制改革会議の後継組織である「規制改革・民間開放推進会議」(宮内義彦議長=オリックス会長)は八月三日、四カ月間の審議結果を「中間とりまとめ」として発表した。「官製市場の民間開放による『民主導の経済社会の実現』」と銘打った中間まとめは、教育分野では経営形態の異なる学校間の競争条件の同一化や学校における公設民営方式の解禁を打ち出しているが、民間である私立学校の振興よりは企業への教育市場開放に力点をおいた内容となっている。

 今回の中間まとめの中の教育分野では、(1)経営形態の異なる学校間の競争条件の同一化(2)学校に関する公設民営方式の解禁を取り上げている。このうち(1)に関しては、国公立学校に私立学校を大きく上回る運営費助成が行われ、それが授業料の格差に反映、私立学校を選択した場合、国公私立学校の費用の一部と合わせて二重の負担を強いられると説明している。
 しかし同時に株式会社等ということのみをもって私学助成や優遇税制の対象とされず、その分授業料が高くなれば、教育サービスを受ける国民の法の下の平等に反するという点で問題がある、と指摘している。そのうえで当面、少なくとも構造改革特区では、株式会社等の学校についても直ちに学校法人と同様に私学助成、優遇税制の対象とすべきだとし、また全国への適用拡大も求めている。さらに経営形態の異なる学校への支援措置としてバウチャー制度を検討、十六年度中に結論を出すよう求めている。文部科学省は株式会社立等の学校への私学助成は憲法上問題があるとしており、公私立学校については役割の違いから財政措置等を完全に同一にしなければならない訳ではない、としている。株式会社等への優遇税制について総務省は、「既存の税の優遇措置に関する事項は構造改革特区や規制改革においては対象外」とし、財務省も「優遇税制を講じることは適当ではない」との方針。内閣法制局は、同会議の「憲法八十九条は教育等の事業から宗教性を排除することを主旨・目的とした規定」との考えについては、そう断定することは適当ではないとの姿勢。
 一方、(2)の地方公共団体等の設置した施設について、株式会社やNPO法人等に包括的に管理・運営をさせる方式については義務教育を含め学校一般について速やかに解禁することを求めている。文部科学省は特に義務教育では取り返しがつかない支障が生じる恐れがあるとして、慎重な検討が必要としている。

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