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記事2004年9月23日 1948号 (2面) 
大学等の倒産時代に備え
学生転学や教職員転職 早急な基準づくり提言
私大経営研
 就学人口の減少に伴って私立大学・短大の経営環境は今後さらに悪化が予想されるが、大学の研究者や公認会計士、弁護士らで構成する「私立大学経営に関する研究会」(研究代表=山本眞一・筑波大学大学研究センター長・教授)はこのほど、経営危機に対処するため、学生の権利保護や教職員の雇用確保、施設・設備の活用方策などを含めた危機管理の手順やノウハウの研究開発・公表、関係者の責任追及だけでなく経営困難に至るメカニズムの解明の必要性などを指摘した研究報告をまとめ、公表した。
 大学等の入学年齢に当たる十八歳人口は、出生率の低下から二百万人超の時代を経て、二〇〇九年には百二十万人、二〇五〇年には八十万人にまでの減少が予測されている。また大学の倒産や文部科学省による学校法人への閉鎖命令も出始めており、同報告は十八歳人口に頼ってきた大学経営の徹底的な構造改革や、大学閉鎖にいたる場合の、学生の利益を損わず社会的混乱を避けるための方策の早急な検討の必要性を指摘している。
 そのうえで今後、必要な方策としては、この先、職業生活に必要な専門的知識が高度化し、これを獲得するための効果的な教育が大学に求められること、生産者(大学)優位の経営から消費者(学生)優位の経営への転換の必要性を、大学関係者はいち早く認識し、大幅な大学改革を断行すること、人件費の増大を抑えつつ、従来にも増して学生サービスを行えるような経営システムの研究、具体的には大学連携やe‐ラーニングなどの研究、学生サービスの向上を目指した教員や職員の研修の必要性を挙げており、また大学経営体質の改善策では大学経営の透明化、経営と教学との新たな分担・協働関係の構築などを提言している。さらに学生の転学の早急なルール作りや教職員の大学以外の職場も視野に入れた雇用機会確保のための職業再訓練政策の早急な検討の必要性を強調している。このほか教授会中心の大学運営の欠陥を補完し、理事長ら経営トップの判断を専門的に補佐できるよう事務職員の資質向上、倒産した場合、学習に適した施設・設備が破産法による清算を含め処分に当たっては、国、地方公共団体や近隣大学などの関係者が活用方策を検討する機会とルール作りを提言している。

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