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記事2004年9月23日 1948号 (6面) 
ユニーク教育 (134) ―― 千葉明徳高等学校
猛暑の中パラリンピックの募金活動
人間教育の一環に

吉澤校長

 六月二十六日、千葉市・JR鎌取駅付近。千葉明徳高等学校(吉澤肇校長、千葉県千葉市)の、ボランティア活動を行っているインターアクトクラブに所属する部員八人の熱い一日が始まった。パラリンピック街頭募金活動だ。
 当日は雲一つない快晴。午前十時には三十度を突破していた。生徒たちは、駅前にある大型スーパー前の歩道と、駅からスーパーに架けられている歩道橋の上の二カ所に分かれて、十時三十分に開始した。
 同校の教育方針は「学芸を通じて広く良識を養い、徳性を高める」「スポーツを通じて健全な身体の発育を図る」「集団活動を通して社会の一員としての自覚と責任を持せる」。このパラリンピック街頭募金活動も集団活動を通して、社会の一員としての自覚と責任をはぐくむ人間教育に基づいている。
 一人でも通れば生徒たちは声を出して呼び掛けた。「ありがとうございました」――最初は恥ずかしそうにしていた生徒たちだが、次第に声が大きくなっていった。やがて、年配の方が最初の募金をし、生徒たちは安どの表情に変わった。土曜日で子供を連れた家族が多い。
 「中には紙幣を数枚入れて行かれる方もあり、生徒もびっくりしていました。また、スーパーから冷たい飲み物をたくさん買ってこられ『ご苦労さま』と、ねぎらいの言葉をかけてくださった女性がいらっしゃいました」(桜井嗣和教諭)
 これには生徒たちも感激し、中には涙ぐむ生徒もいた。この活動を行っていてよかったと感じた時だ。生徒たちは差し入れの飲み物で十分間休憩を取り、心ものども潤ったところで再び活動を開始。
 午後一時過ぎ、生徒たちの熱い一日は終わった。お腹はすき、足は棒のようになった。
 「生徒たちは炎天下のなか、たいへんよく頑張り、スーパーの中にあるファーストフード店で昼食をとりました。この間、どの顔にも満足感がありました」と桜井教諭。
 生徒たちはこの活動を通じて、多くの人たちの善意や温かさに感動したにちがいない。
 「暑くて、最初はみんなあまり募金してくれなかったが、呼び掛けているうちにだんだん募金してくれるようになり、うれしかった。途中で、『暑いからこれでも飲んで』と言って、お茶をくださったり、『ご苦労さま』と声を掛けてくださったり、とてもうれしかった。心が温かくなった」
 「人の役に立つことはこんなに素晴らしいことだなと、この活動を通して分かりました」
 「足の不自由な方が来られて、『よろしくお願いします』と言って、募金をしていただいた。私たちの行っていることは大事なことだなと思った」
 生徒たちにとっては、掛け替えのない日となった。後日、四箱の募金箱を集計したところ、予想をはるかに上回る五万三千九百四十七円が集まった。募金箱を持って、各クラスなどを回って集めた金額と合わせて六万五千円余りとなった。生徒たちはパラリンピックが始まる九月まで募金活動を続けることを確認した。
 (桜井教諭から全私学新聞に報告書を頂いた。記事はその報告書に基づく)


熱心に募金を呼び掛けている生徒

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