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記事2004年9月13日 1947号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
外国大学の日本校の位置づけ
教育課程修了者に学位授与
10月下旬頃に新制度施行へ
【大学分科会】

 中央教育審議会の大学分科会(分科会長=佐々木毅・東京大学長)は、九月三日、都内で第三十八回の会合を開き、九日の中教審総会で報告するために、これまで行ってきたわが国の高等教育の将来像に関する審議の概要を整理した。
 また、文部科学省から、外国大学の日本校や日本の大学の海外校について、当該大学に準じた取り扱いを行う制度を整備することについて提案があり、これについても審議した。
 高等教育の将来像については、これまで出されていた審議の概要をもとに、文言の整理などを行った。九日の総会で報告したあと、十月、十一月の会合で、関係団体等から意見を聞き、中間まとめを公表し、パブリックコメントを行い、十七年一月には、答申する予定。外国大学の日本校の取り扱いに関する新制度として提案されたのは、外国大学の日本校のうち、当該国の学校教育制度において、外国大学の一部と位置づけられているものについては、当該外国大学に準じて取り扱うこととするというもの。これにより、卒業生の日本の大学院への入学、在校生の日本の大学への転学・編入学、日本の大学との単位互換などを行えるようにする。
 日本の大学の海外校で、設置基準等を満たしているものについて、日本の大学の一部として位置づけることを可能とすることも併せて提案された。これによって、海外校で課程のすべてまたは一部を履修することが可能になり、海外校ですべての教育課程を修了した者には日本の学位が授与できることになる。
 パブリックコメントを実施後、大学分科会で諮問・答申を行い、文科省は十月下旬か十一月の上旬には、新制度を施行する意向。
 外国大学日本校の質保証については、文部科学省が在日大使館等を通じて、当該国の学校教育制度に位置づけられていることを確認したうえで、指定するとしているが、委員からは「大使館で返答できない恐れがある」「本校にも問い合わせるべきではないのか」などの意見があり、同省は、「本校への問い合わせなども併せて行い、文部科学大臣が責任を持って指定する」と返答した。

【教育の通用性と質保証の教育政策】
私情協の学長会議
教育の情報化推進 産官学の連携が大きな課題


 私立大学情報教育協会(戸高敏之会長=同志社大学工学部教授)は、七月三十一日、明治大学リバティタワーで、「教育の通用性・質保証を高める教育政策を構想する」をテーマに、教育の情報化推進のための理事長・学長会議を開催した。来賓には、河村建夫・文部科学大臣も出席した。
 河村大臣はあいさつの中で「大学が大学のことだけを考えればよい時代は終わり、産官学の連携と情報教育をいかに結びつけるかが、大きな課題となっている。今日の会議が、教育改革に示唆を与えるものになると期待している」と述べた。
 討議に先立って、東京工科大学の相磯秀夫学長が「産学連携による教育革新」をテーマに講演を行った。相磯学長は、私立大学を取り巻く環境を踏まえ、教育革新は(1)学術の発展(2)産業・社会からの要請(3)魅力ある大学像という視点から行う必要があると指摘。今後の課題の中で産業界への貢献としては、e−ラーニングの提供、アントレプレナー教育などがあると話した。
 続いて、東京電機大学の中村尚五・情報環境学部長が、「自治体と連携したプロジェクト教育」として、学生・企業等(自治体含む)・教員の共同作業による実習型の授業、プロジェクト科目の取り組み内容を発表した。また、帝塚山大学の石澤末三学長は、今年度の特色GPに採択されたTIESのライブ塾について、話した。これは有識者等と連携して、インターネットライブ授業を行うことによって、抽象的になりがちな、大学講義を補足するというもの。
 続いて井端正臣・事務局長が、社会と大学が共に人材育成・教育の質向上を図るシステムの構築を提案。産業界から、現場情報・体験情報の紹介、知的情報の電子化と教育への利用実現、実務経験者による授業の実現などの支援を受けることによって、学生の学習意欲・実務能力、授業の質を高められるのではないか、と話した。
 これらの事例報告・提案を踏まえ、文部科学省の杉野剛・高等教育局専門教育課長、慶應義塾の齋藤信男・常任理事、戸高会長、井端事務局長がパネリストとなり、明治大学の向殿政男・理工学部長の司会で全体討議を行った。

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