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全私学新聞

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記事2004年8月3日 1944号 (1面) 
平成17年度 私学関係予算で全私学連合が要望
高校等の国庫補助堅持
イコール・フッティングの早急な実現
経営困難法人への支援
 幼稚園から大学までの私学五団体で組織する全私学連合(代表=安西祐一郎・慶應義塾長)は、七月二十七日、都内のホテルで代表者会議を開き、「平成十七年度私立学校関係政府予算に関する要望」をまとめ、同日と翌二十八日、与党文教関係議員に要望事項の実現を要請した。要望書では学校法人と国立大学法人との適正な競争が可能となる環境(イコール・フッティング)の早急な実現や、私立高校等に対する国庫補助制度の堅持・拡充、私立幼稚園での子育て支援事業に対する財政支援などを求めている。河村建夫・文部科学大臣には八月六日に陳情の予定。

 今回の要望書は、文部科学省が八月末に財務省に提出する平成十七年度概算要求に向けまとめられたもの。
 要望書は大きく分けて大学等関係、高校等関係、私立幼稚園関係からなっている。
 このうち大学等関係ではイコール・フッティングの早急な実現のほか、国際競争力の強化と活力ある大学づくりのため高等教育に対する政府予算全体額の対国内総生産(GDP)比率を欧米諸国並みの一%へ飛躍的に拡充する必要性を強調。
 その上で「私立大学等経常費補助金」に関しては、一般補助での算定基礎となっている人件費・物件費単価の増額などを、また特別補助では各補助項目における一法人当たりの申請限度数の撤廃などを、「私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助」では、努力している私立大学等にインセンティブが働くよう補助率を二分の一から三分の二へ引き上げることを要望している。
 そのほか私費留学生に対する支援の拡充、国公私立大学を通じた大学教育改革のための支援拡大、地方共同サテライト・キャンパス整備事業に対する支援、経営困難となった学校法人の学生の就学機会維持継続のため、転入学生受け入れ法人に対する補助項目等の創設、認証評価(第三者評価)の義務化に伴い認証評価機関に対する強力な公的支援などを求めている。
 私立高校等に関しては、自らにとって最適な学校教育が支障なく選択できる自由が実質的に確保されるよう、国・公・私立学校間で均衡の取れた適正な財政措置(公費支出)、私学振興に対する国の意思と責任を明らかにするものでもある「私立高等学校等経常費助成費補助金」(国庫補助)の堅持と一層の拡充などを求めている。
 またすでに全都道府県で単独事業として行われている「私立高等学校授業料等軽減補助事業に対する国の補助制度」の創設を、さらに公立学校と同等な整備ができるよう「私立高等学校等施設高機能化整備費補助金」「私立高等学校等IT教育設備整備推進事業」の拡充強化、私立高校生に対する奨学金の拡充、財団法人日本私学教育研究所補助金の拡充などを要望している。
 私立幼稚園に関しては、公私の幼稚園また幼稚園と保育所との間に存在する、公費負担と保護者負担の著しい格差の解消、公立幼稚園・小学校と比べ財政基盤の弱さから遅れの目立つ私立幼稚園での安全・災害対策への緊急対応の必要性を強調している。
 その上で教員の資質向上と待遇改善に向けた「私立高等学校等経常費助成費補助金」(幼稚園分)の拡充のほか、幼稚園での子育て支援事業に専任の教職員が配置できる支援措置、補助率が三分の一を大きく下回っている「私立幼稚園施設整備費補助金」の拡充、「幼稚園就園奨励費補助金」の拡充、個人立などいわゆる「一〇二条園に対する特別補助制度の創設」などを求めている。

私学事業団に再生支援 業務を制度化

 このほか日本私立学校振興・共済事業団に関しては、経営困難法人への対応として、事業団が再生支援等に関する業務を行うための、必要な制度改正などを、財団法人私学研究福祉会に関しては、私学事業団の前年度利益金の範囲に限定されない積立金の取り崩しによる研修事業財源の確保などを要望している。

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