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記事2004年8月3日 1944号 (1面) 
私学法の改正等で留意事項や様式参考例を通知
財務情報公開では小規模な法人に配慮必要
閲覧の対象者を例示
 文部科学省は七月二十三日、私立学校法の一部を改正する法律とそれに伴う政省令の公布に合わせて、御手洗康事務次官名で法令改正の趣旨や概要、留意すべき事項等を、また金森越哉私学部長名で財務情報の公開に係る書類の様式参考例等を、文部科学大臣所轄の各学校法人理事長と各都道府県知事に通知した。
 このうち事務次官通知では、「私立学校法の一部を改正する法律」、「私立学校法施行令等の一部を改正する政令」、「私立学校法施行規則の一部を改正する省令」のそれぞれ概要を紹介(法律の概要は本紙5月3・13日合併号、政省令の概要は7月13日号で既報)。
 そのうえで法律上、留意すべき事項としては、理事長はできる限り常勤化や兼職の制限を行うこと、非常勤の理事に対しては学校法人の運営の状況について定期的な情報提供を行うことが期待されること、としている。また外部理事については、学校法人の運営に多様な意見を取り入れ、経営機能の強化に資するよう導入したもので、一人に限るものではなく、学校法人の規模や実情等に応じてできる限り積極的な登用が期待されること、選任の際だけではなく、過去においても当該学校法人の役職員でなかった者等を選任するよう努めること、としている。
 監事に関しては法律の施行(平成十七年四月一日)以降、評議員との兼職はできず、監査の結果、学校法人の業務等に関し不正行為等を発見し、理事会や評議員会に報告しても適切な対応がなされない場合は、所轄庁に報告すること、財務情報の公開に関しては、各都道府県知事所轄の学校法人は一般に小規模な法人が多いことから、都道府県において指導等を行う際には、これらの小規模法人に過度の負担とならないよう配慮されたいこと、私立学校審議会の構成の見直しでは、都道府県知事の私立学校における行政の適正を期するために置かれている私立学校審議会の目的を踏まえた適切な人選が行われたいこととしている。
 一方、私学部長通知では、法第二十六条第三項に規定する収益事業に係る財務書類についても閲覧の対象になること、法第四十七条第二項の規定に違反して書類の備え付けを怠り、あるいは記載すべき事項を記載せず、もしくは不実な記載をしたときには、法第六十六条第四号の規定により罰則の対象になる、としている。また法の規定により財務書類の閲覧の対象者となる「当該学校法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人」については、具体的には例えば(1)当該学校法人の設置する私立学校に在学する学生生徒やその保護者(2)当該学校法人と雇用契約にある者(3)当該学校法人に対する債権者、抵当権者等が該当するとしている。
 さらに閲覧請求があった場合でも閲覧を拒むことのできる「正当な理由がある場合」に関しては、具体的には例えば(1)就業時間外や休業日に請求がなされた場合等、請求権の濫用に当たる場合(2)当該学校法人を誹謗(ひぼう)中傷することを目的とする場合等、明らかに不法・不当な目的である場合(3)公開すべきでない個人情報が含まれている場合等が考えられるとしている。
 このほか閲覧に供する財産目録、貸借対照表、資金収支計算書、消費収支計算書、事業報告書等の様式参考例や記載例を提示している。

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