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記事2004年8月3日 1944号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
社会貢献が第三の使命
各高等教育機関の性格付けなど討議
審議内容を中間整理、大学分科会に報告へ

【大学分科会・制度部会】

 中央教育審議会大学分科会制度部会は、七月二十九日、都内で第十一回部会を開き、文部科学省が作成した原案を基にこれまでの審議内容について中間的な整理を行った。事務局が提示した原案は、A4判で十n。今後の大学の役割や、短大や専門学校など各高等教育機関の性格付け・課題、設置認可と大学評価の関係を中心にまとめたもの。
 このうち今後の大学の役割については、従来の教育、研究に加え「社会貢献」を第三の使命として挙げた。また高等教育機関については、学士・修士・博士・専門職学位という「学位を与える課程」(プログラム)中心の考えに再整理していくことを提案、このうち学士課程段階では、教養教育と専門基礎教育を中心に、主専攻と副専攻を組み合わせた総合型教養教育を基本とすることや、学士課程三年修了の積極的活用などを提案、学士課程、修士課程等ごとの職業教育の具体的検討が必要としている。
 短大における準学士課程教育の特色は、「大学における教養教育」を、主として女子教育や社会人・高齢者等の幅広い学習需要に的確に対応したアクセスしやすい形で提供する点にあるとし、そうした点を踏まえて短大における教育課程の修了を制度上の学位に結びつけることについて検討すべきだとしている。
 専門学校に関しては、実際的な知識・技術等を習得した人材を育成するために実践的な職業教育・専門技術教育機関としての専門学校の性格の明確化が期待される、とし、四年制専門学校卒業者への大学院入学資格の付与の検討を提案した。
 こうした提案に短大関係の委員は、整理内容についておおむね評価。また専門学校関係委員は、専門学校が教養教育を行っていないととられかねない点を懸念、大学院入学資格の付与に関しては、「すでに大学院に入学している実態もある。門を閉ざすと、四年制卒業生のスキルアップの場所がなくなってしまう」と資格付与の実現を求めた。審議の中間的な整理は部会長中心に修文し、八月六日の大学分科会に報告する。

全入時代二年早まる
基準協、日弁連の認証近く答申

【大学分科会】

 中央教育審議会の大学分科会は、七月二十三日、都内の会議所で第三十五回の会合を開き、大学基準協会と日弁連法務研究財団について、評価機関として文部科学大臣が認証するにふさわしいかについて審議したほか、高等教育の将来構想(グランドデザイン)について、話し合った。審議に先立って文部科学省は、大学・短期大学の入学者数と志願者数が一致する、いわゆる「全入時代」が、平成九年時の予想より二年早まって、平成十九年に訪れる見込みであることを発表した。全入時代が二年早まった原因としては、当初十八歳人口が減少すれば上がると見られていた大学・短期大学への進学率が、専門学校人気などから、五〇%を目前に伸び悩んでいることがある。
 これまでは、平成七年度・八年度の実績で推移するとの仮定で、現役志願率が毎年○・八%増加するとしていたものを、今回の試算では、十三年度から十五年度の実績によって、毎年○・四五%の増加に下方修正した結果、全入時代が二年早まった。
 同分科会では、今回の試算の結果を踏まえて、「誰もがいつでも学べる高等教育(ユニバーサル・アクセスの実現)」や、「誰もが信頼して学べる高等教育(大学の質保証)など、五つの方向性を柱に、引き続きグランドデザインを審議する。大学基準協会については制度部会で、日弁連法務研究財団については法科大学院部会でそれぞれヒアリングと審議を行った結果、認証することに異議はなく、大学分科会でも異議がなかった。
 両評価機関については、近く、文部科学大臣が認証にするにふさわしいと、答申がなされる見込みだ。

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