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記事2004年8月3日 1944号 (4面) 
公費による教育費の父母負担公私較差
私立高生に34万円 都立高生156万円
公費は私学の4.6倍も
 私立学校が公教育に果たしている役割の重要性を考慮し、都では私学助成対策を講じている。ここで、配慮されなければならないのが公私間較差の是正だ。公私間較差の問題を考える場合、(1)私立と公立の生徒一人当たりに対する公費負担額の割合と、(2)教育費の父母負担における公私間較差がある。
 (1)学校の運営費にかかわる経費に占める公費負担を公私で比較してみる。
 平成十四年度決算総額のうち、都の私立高校(全日制)への経常費補助は六百三十九億九千万円であるのに対し、都は都立高校(全日制)に二千八十億九千万円支出している。
 これを生徒一人当たりに換算してみると、経常費補助の私立高校生一人当たりの単価は三十四万四百五十九円であるのに対し、都は都立高校の生徒一人当たりに百五十六万六千三百二十円、税金を投入している。その差は都立高校が私立高校の四・六倍となっており、依然として公私間較差は是正されていない。
 ちなみに、十六年度の経常費補助の生徒等一人当たりの単価は、高校が三十四万六千二百九十四円、中学が三十一万三千五百三十一円、小学校が二十四万五千百九円となっている。
 (2)私立高校へ子供を通わせている保護者が実際に初年度に負担する十五年度の平均授業料は、三十九万六千四百六十四円で、これに入学金二十四万二千三百三円、施設費等十九万三百四十四円を加えると、合計八十二万九千百十一円となる。
 一方、都立高校の場合、十五年度の年間授業料は十一万千六百円、これに入学金五千六百五十円を加えると、合計十一万七千二百五十円となる。授業料等初年度納付金の面でも公私間較差は、都立が私立の七分の一だ。授業料だけをみても都立は私立の約四分の一という状況だ。
 少子化が進む一方で、依然として都の財政も苦しい状況にある。私立学校は各校が自助努力をし、授業料等納付金の値上げをできるだけ抑えているのが現状だ。また、公私間較差は、子供が努力すれば私立の行きたい学校へ進学できるという「学校選択の自由」を阻害し、私立学校へ行きたくても、家庭の経済的事情から進学を断念せざるを得ないのが現状だ。補助金は子供のために使われているという大前提を考え、公私間較差の早急な是正が望まれる。


会場前には長蛇の列ができた
(昨年、東京国際フォーラム)


熱気にあふれた相談が行われた
(昨年、東京国際フォーラム)

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