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記事2004年8月13日 1945号 (1面) 
全国知事会が国庫補助負担金改革案まとめる
義務教育、私学助成廃止をリストに
私学団体は反発
国庫補助堅持を政府・与党に要請
 全国知事会(会長=梶原拓・岐阜県知事)は八月十九日、新潟市内で会合を開き総額三兆二千三百億円の国庫補助負担金改革案を取りまとめた。これは政府が進めている「三位一体改革」のたたき台となるもので、最終的には地方六団体の要望となる。改革案には廃止すべき国庫補助負担金として義務教育費国庫負担金(中学校教職員分)とともに、私立高等学校等経常費助成費補助金や幼稚園就園奨励費補助金、高等学校定時制及通信教育振興奨励費補助金等が挙げられており、私学関係者は教育水準の低下を招くとして強く反発、政府・与党に国庫補助の存続を求めていく方針だ。

 三位一体改革とは地方分権を財政面からさらに推進しようというもので、国庫補助負担金を廃止・縮減する一方で、地方自治体に税財源を移譲、あわせて地方交付税措置も見直そうという改革。
 新潟市で行われた全国知事会議は八月十八日午後二時に始まった。改革案の原案やその前段階の論点をめぐって知事からさまざまな意見が噴出、午前零時過ぎまで議論を続けたものの、意見の集約はできず、翌十九日の午前中の審議でようやく採決となった。結果は賛成四十、反対七で改革案が採択された。この中で最大の争点だったのが義務教育費国庫負担金を廃止リストの中に入れるかどうか。リスト入り反対の知事からは、税源移譲でしっかりと財源が確保できるのかといった懸念等が、賛成の知事からは都道府県ごとの人材育成の重要性や今回は地方が財政的にひとり立ちできる千載一遇のチャンスである点が強調された。
 また議論の中で中学校を国庫負担の対象から外す理由について、中学校は中等教育であり、今後、中学と高校の連携がさらに重要になってくると説明。高校はすでに一般財源化している。今後、公立の中高一貫教育の拡大が予想される。
 私学助成に関しては賛否の議論はなかったが、税源移譲に当たっては十割移譲の必要性を指摘する意見が聞かれた。地方六団体では国と地方の協議機関を設け、改革案の完全履行を政府に迫っていく考え。政府の経済財政諮問会議では八月二十四日に河村建夫文部科学大臣を加え、義務教育費国庫負担問題等を話し合う予定。日本私立中学高等学校連合会、日本私立小学校連合会は九月二十二日、都内で国庫補助の存続を求める「緊急全国大会」を開催、国庫補助の存続を政府・与党に強く求めていく方針だ。


8月19日に行われた全国知事会議での改革案に対する採決 (新潟市・朱鷺メッセ)

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