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記事2004年8月13日 1945号 (1面) 
河村文科相 義務教育の改革案を発表
義務教育国庫負担重要性を強調
63制区分の弾力化打ち出す
 河村建夫・文部科学大臣は八月十日、「義務教育の改革案」を発表した。
 この改革案は、政府の三位一体改革論議の中で義務教育費国庫負担制度の廃止が検討課題とされていることから、義務教育に対する国の財源保障の役割を明確化し、同時に地方が今まで以上に創意工夫を生かせるよう制度の弾力化などを打ち出したもの。改革案は大きく分けて、(1)義務教育制度の弾力化(2)教員養成の大幅改革(3)学校・教育委員会の改革(4)国による義務教育保障機能の明確化――の四点からなっている。
 このうち義務教育制度の弾力化では、国民に必要とされる確かな学力、豊かな心、健やかな体を養うという義務教育の役割を再確認し、学校教育法や学習指導要領を見直し、義務教育の九年間で子供たちが身につけるべき資質・能力の最終到達目標を明確に設定する。
 義務教育制度を弾力化し、地方が多様な教育を主体的に実施できるようにする。六・三制の小・中学校の区分も地方の実情に応じて小中一貫教育の導入を可能とするなど柔軟な制度にする。
 教員養成の大幅改革では、教員免許に更新制を導入し、教員養成の専門職大学院を設置する。
 学校・教育委員会の改革では、「学校評議員」「学校運営協議会」という保護者・地域住民が学校運営に参画できる仕組みを全国化し、全学校が教育活動等の成果について評価を行い結果を保護者・住民に公表する。教員評価を徹底し、優秀な教員を顕彰し処遇に反映、問題教員を教壇に立たせない仕組みを強化する。
 教員人事・学級編制に関する権限をできる限り地方や学校に移し、地域や学校が責任をもって学校運営にあたれるようにする。教育委員会についても教育行政の責任ある担い手として地域の課題に主体的に取り組むよう、あり方を見直す。
 国による義務教育保障機能の明確化では、国の義務教育に関する基準を必要最低限のものとなるよう見直し、できる限り地方が創意工夫を生かせるようにする。義務教育の根幹(機会均等・水準確保・無償制)を支え、国の責任を果たすため、教育費が十分に確保され、地域間で格差を生じることがないよう、義務教育費国庫負担制度の財源保障としての役割を明確にし、地方の自由度を高めるさらなる改革を進める。

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