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記事2004年7月23日 1943号 (2面)
教育研究経費高水準で増加
私大連盟・財務状況を報告
苦しい財政下で強化
消費支出の超過額1000億円台に
日本私立大学連盟(会長=安西祐一郎・慶應義塾大学理事長・学長)は、このほど、報告書「加盟大学財務状況の概要平成十四年度実績」を公表した。 それによると、昭和四十八年度の調査開始以来、初めて帰属収入が前年度を下回ったほか、消費支出超過額が初めて一千億円台となる一方で、教育研究経費は高い水準で増加しており、加盟大学法人が、苦しい財政状況の中でも、教育研究を強化しようとしていることなどが明らかになった。平成十四年度、同連盟の加盟百十法人(百二十三大学)の財務状況を調査した結果、帰属収入の総額は、二兆三千三百億円、前年度と比べ八十一億円(○・三%)の減額だった。 帰属収入に占める割合(五二・三%)がもっとも高い納付金は一兆二千百九十億円で、前年度比九十三億円(○・八%)の微増にとどまった。また補助金収入七十三億円、資産売却差額六十九億円、事業収入五十九億円と、いずれも前年度に比べ減額したことが影響して、初めて帰属収入が前年度を下回ったと見られる。 消費支出超過額は、対前年度比で二百七十四億円増加の一千百二十四億円と、初めて一千億円台となり、消費収支はさらに悪化する傾向にある。消費支出増加要因の過半を占めているのは、教育研究経費の二百十四億円増。消費支出の最大項目である人件費は抑えられ、借入金等利息もマイナスとなっているが、十四年度の教育研究経費は三千二十五億円と、人件費や管理費支出に比べると高い水準で増加を維持しており、長引く不況の中で、納付金の値上げを抑制しながらも、教育研究を強化しようとしていることが読み取れる。 同連盟では学校法人会計基準が私立学校の会計に導入されて以来、加盟全法人の財務データの集計を行い、その結果を継続して公開してきた。今後は学校法人の財務状況の公開が義務づけられるが、今後も加盟法人全体の情報を公開し続けることにより、個別法人の情報公開を補完していく。
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