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記事2004年7月13日 1942号 (5面) 
ユニーク教育 (131) ―― 日本橋女学館中学・高等学校
七夕週間など伝統文化取り入れ行事
地域との交流大切に

服部校長

 来年百周年を迎える日本橋女学館中学・高等学校(服部一枝校長、東京都中央区)には、日本伝統文化を取り入れた「七夕週間」「ひな祭」そして「針・文房具供養」の行事がある。建学の精神「質実穏健」は「真面目に学習に取り組み、優しく思いやりの心を大切に、心身ともに健康であること」を目指す。伝統行事を取り入れている背景には、生徒が身近に日本文化を体験することで、感性豊かな女性に育ってほしいという願いが込められている。
 六月二十四日から三十日まで行われた「七夕週間(星に技芸上達を祈る)」。保護者を交えた江戸千家流の茶会があり、書道・華道作品が展示された。最終日の六月三十日、全校参加の「七夕集会」は服部校長の七夕講話から始まり、「七夕の短歌・俳句の優秀作品表彰、ディアナ教師の日本語によるスピーチ、バトン部の演技、吹奏楽部の演奏、コーラス部の合唱」と続いた。
 服部校長の七夕講話は、女性が着物を機織機で織って、棚に載せて供える「たなばた」と呼ばれる風習の話から始まった。その後、中国から伝わった機織り上手の織女と牛飼いの若者、牽牛の話と結びついたと進めた。伝統行事のいわれ、それを長年にわたって伝えてきた人々に思いをいたしながら、生徒たちが行事をつくり上げていくところに同校の特徴がある。生徒たちは星にまつわる伝説や星座を学び、心を込めて願いごとを短歌や俳句にし短冊に記す。体験学習などに利用されている市川研修センターから竹を切り出し、竹に短冊を飾るのだ。その竹は神田川沿いに置かれる。
 また、二月に行われている「ひな祭」では、ひな祭りをテーマにした「短歌・俳句コンクール」が行われる。優秀作品には地元の老舗、吉徳から市松人形が贈られる。同校は昭和三年から「針供養」を行ってきたが、現在では使い古しの文房具も併せて供養している。この「針・文房具供養」のために講堂に祭壇を作る。修養委員会の生徒は大豆を煮て大きな豆腐を作る。そして、心を込めて、折れた針や古い文房具を豆腐にさし、その後、浅草の淡島神社に納めている。
 最後にいよいよ「流し雛」が行われる。各クラスから修養委員二人が、船宿から屋形船に乗って神田川へ。ここで、生徒たちが作った雛を載せた雛台を流すのだ。浅草橋からは多くの人々が足を止めて、見入る光景が毎年見うけられるという。
 これらの行事は生徒会が主催となり、修養委員会が企画・運営を担当し、多くの生徒たちが行事に参加している。修養委員は日々クラスの出欠席の管理をし、職員室の出欠席表に記入する。これら伝統行事の時にも中心となって活躍する。
 「短歌・俳句コンクール」の優秀作は浅草橋駅、馬喰町駅、両国郵便局に展示されている。同校は百年前、日本橋地域の子女教育の必要性から誕生した。以来、地域との交流を大切に、地域から愛される学校を目指してきた姿勢がうかがわれる。神田祭には生徒が町内会の神輿を担ぐのもその表れだ。
 日本の伝統行事を通して日本文化への理解を深める一方、同校では海外語学研修、ネイティブの英語教師によるホームルーム指導など、国際感覚の養成にも心を砕いている。

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