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記事2004年7月13日 1942号 (7面) 
短期大学パイオニア (10) ―― 佐賀短期大学
健康福祉・生涯学習センター
エルダーカレッジ開設
高齢者・社会人の教育の場
 佐賀短期大学(福元裕二学長)は昭和三十八年の開学当初から地域に開かれた大学、地域とともに学ぶ短期大学として歴史を刻んできた。昭和五十九年に地域と共生する姿勢をより確かなものにするために、公開講座を開設し、地域の人々に生涯学習の場を提供してきたが、平成六年には公開講座をより充実したものとする実施組織として健康福祉・生涯学習センターを設置した。
 センター内には公開講座部門に加えて四年制のエルダーカレッジを開設して、高齢者の生涯学習や社会人のリカレント教育の場としても機能させている。公開講座やエルダーカレッジの受講者は短期大学の若い学生との相互交流を行っているほか、佐賀短期大学での教養教育(人間教育)支援などを通じて緊密な連携を保っており、両者のコラボレーションが学生の人間教育に貢献すると同時に高齢者自身の生き甲斐づくりにも新たな活力となっている。
 センターは公開講座、生きがいづくり教室、リカレント講座など複数の部門で衣食住や趣味、健康に関する住民支援プログラムを多彩に展開している。
 エルダーカレッジはセンター内に設置されて、学内外の講師による四年間の体系学修が受けられるようになっていて、学修総時間数を単位に換算すると短大卒業要件を満たす六十二単位相当に達する。このエルダーカレッジ本科の修了者は、さらに二年間の專修科で継続して履修する例が多い。
 四年間の在籍中に学習意欲をなくして退学する例はほとんどなく、平成十五年度の在籍者は本科四十三人、専修科三十二人。
 佐賀短期大学には食物栄養学科、生活福祉学科、幼児教育学科のほか、平成十六年度からくらし環境学科が開設されて現在四学科制。
 このうち幼児教育学科ではエルダーカレッジ生と佐賀短期大学付属三光幼稚園の園児との交流会が教育研究への参加の一形態として行われており、また短大年間行事の一つとして卒業研究の実技発表会ではコーラスの部で参加している。
 生活福祉学科では専門教育の一つとしてセンターの生きがいづくり教室で模擬介護体験を行い、この実習を通して高齢者の生き方やものの考え方を学んでいる。
 平成十五年度には教養教育の中に一般教育科目「あすなろう」を立ち上げて、専任のほぼ全教員と数人の非常勤講師とでオムニバス方式の授業として行っているが、この授業を一部のエルダーカレッジ生も担当している。
 エルダーカレッジの学生は自治会組織を持ち、勉学だけでなくサークル活動、レクリエーション、旅行など積極的な課外活動を行っている。
 短期大学の若い学生は日常的に同じキャンパスに集う高齢者世代と交流し学びを共有する機会を持つことで、学ぶ楽しさや高齢者とのコミュニケーション能力、共に楽しむ術などを人生の達人から得ることができる。
 同時にエルダーカレッジ生も若い学生から若者の考え方や新しい知識や時代の変化を学ぶことができる。
 エルダーカレッジの開設当初は授業料徴収にともなう学生募集の困難や若い学生との相互敬遠の雰囲気などがあったが、魅力的な内容にするためのカリキュラム改正を繰り返し授業方法も改善をつづける一方、若い学生との関係では学園祭や幼児教育発表会の行事を共有し交流することで流れが変わった。
 地域連携の中心となっているセンターの中高年者による利用はこの一年間で延べ一万四千人に達している。

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