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記事2004年6月3日 1935号 (2面) 
国立大法人化の私学への影響
全国大学実務協が調査
国庫助成減額、学生募集が激化
私大、短大に影響大
 全国大学実務教育協会(会長=和野内崇弘・札幌国際大学理事長)は、このほど『国立大学独立行政法人化等の私立大学・短期大学への影響(U)』として、国立大学法人化による国庫助成や学生募集の激化などについて、調査した結果を発表した。国立大学の独立法人化は全般的に私立大学・短大経営に厳しい影響を与えるとの見方を示した。
 この調査には国立大学でもなく、私立大学でもない立場の視点も必要だとして、兵庫県立大学環境人間学部・福永弘之教授も加わった。
 国立大学法人化の影響の中で、国庫助成の減額という観点では「今後補助金を巧妙に配分しながら、文部科学省は自らの描く方向に大学を誘導していくことになる」と予想している。これまで一時的な定員割れの場合も一定の条件に当てはまれば、助成金の交付が特例として認められていたが、この措置が三年に限定されたこと、日本私立学校振興・共済事業団が使い道のない収入超過額が三億円以上ある学校への補助金は大幅減額していく意向であることなどを、国立大学法人化による国庫助成減額の予兆と説明している。さらにCOEや特色ある教育プログラム、国立大学の地域貢献の促進を「長期間にわたって実施されれば、大学教育の底上げに資することになる」と評価しながら、これらが文部科学省の、大学・短大を「研究」「教育に特色のある」「地域に貢献する」という三つのタイプに分けるための戦略ではないか、と分析している。また、学生募集活動の激化という観点では、二〇〇五年度以降は、地方大学を中心に国立大学も積極的に募集活動を行うであろうと指摘している。
 調査・研究を担当した福島学院大学の菅野英孝理事長は「これまで地域の私学と国立大学の間では、暗黙の役割分担がなされてきたが、地域と密着するしか生き残る道がなくなった地方の国立大学は、今までは私学が担ってきた保育士養成などの分野にも、食い込んでくる可能性がある」と語る。また、株式会社・NPO法人による学校経営問題を挙げ「私学にとっては『前門の独法化、後門の株式会社・NPO法人』」と大学・短期大学を巡る諸問題を故事になぞらえた。

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