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記事2004年6月23日 1937号 (1面) 
準学士を学位明るい見通し 短期大学振興議員連盟要望に
文科省の高等教育局長が示唆
 短期大学振興議員連盟(会長=尾身幸次・衆議院議員、幹事長=田野瀬良太郎・衆議院議員)は、六月十日、東京・永田町の自由民主党本部で第五回総会を開き、昨年の七月に文部科学省に提出していた「短期大学の振興に関する第四次要望」に関して、同省の遠藤純一郎・高等教育局長から実現の可否や関連施策の進捗状況などについて説明を受けた。
 この中で遠藤高等教育局長は、短期大学関係者が長年、要望し続けている「短大卒業者に授与される『準学士』を学位として位置づけること」に関しては、中央教育審議会の大学分科会が高等教育のグランドデザインの中で、短期大学の位置付けなどとともに検討をしていることを報告したうえで、「(文部科学省として)前向きに検討したい」との考えを明らかにし、実現へ明るい見通しを示唆した。この日は、五十校近い短大の理事長・学長とともに出席した日本私立短期大学協会の川並弘昭会長(聖徳大学短期大学部理事長・学長)は、「(高等教育局長の話を)心強く伺った。一日も早く実現を」と語った。四年制大学卒業者に授与される学士は学位だが、短大の準学士は称号。
 このほか「第四次要望」の中で実現を求めていた「短期大学に関係する留学生関連施策の予算増額」や、「長期履修学生制度を利用して学ぶ学生に対する奨学金の適用」、「大学間交流協定等に基づく短期留学推進制度の短大への適用」など、ほとんどの項目で予算の増額や奨学金の貸与の対象となるなど一定の進展が図られた。
 しかし短大関係者からは、なお私費留学生に向け私立の大学や短大が行っている授業料減免措置に対する国の補助が全対象者の四割にとどまっており、残りは私学の財政負担の上に行われていることが指摘され、更なる予算増額が要請された。
 また優秀な学生に出されている学習奨励費(奨学金)に関して文部科学省は平成十六年度予算で前年度と比べて三千万円の増額を図ったが、短大関係者からは質の高い留学生を確保する意味からも引き続いての増額が要求された。
 さらに短大の新しい発展の突破口として短大関係者の期待が大きく、学生募集の面でも大きな実績を残しつつある「地域総合科学科」に関して物心両面のサポートが要請され、第三者評価の来年度からの開始を前にして、個々の短大が今後も点検・評価を行っていくことへの支援と、短大基準協会が第三者評価の認証機関となって評価システムを立ち上げ、その後もその評価システムを成熟したものとしていくための支援が要請された。
 第四次要望で実現しなかった事項は、近く短期大学振興議員連盟の第五次の要望としてまとめられ、文部科学省に提出される予定。この日出席の自民党議員からは、短大の存在意義を前提にして新しい時代の短大像について議員、文部科学省、学校関係者が議論して取りまとめる必要性が強調されたほか、短大の大きな実績からみて短大を守るための専門的な検討が必要だという意見も聞かれ、対症療法的施策に加えて短大が今後も活力を維持できるあり方の抜本的検討を求める意見が目立った。この日は総会ということで、短期大学振興議員連盟の役員・会員が報告され、了承された。同連盟は六月十日現在、五十八人の議員が参加している。

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