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記事2004年6月23日 1937号 (1面) 
与党教育基本法改正協議会が中間報告
私学教育の振興盛り込む
憲法89条との関係今後の論点
 自由民主党の安倍晋三・幹事長、保利耕輔・文教制度調査会長、公明党の冬柴鐵三・幹事長、斉藤鉄夫・文部科学部会長らでつくる「与党教育基本法改正に関する協議会」が六月十六日、国会内で開かれ、教育基本法改正に向けた審議の中間報告をまとめた。

 中間報告は、新しい教育基本法に盛り込むべきものとして十九項目を挙げており、その中には「私立学校教育の振興」も含まれている。また「私立学校教育の振興」では、「私立学校は、建学の精神に基づいて教育を行い、国・地方公共団体はその振興に努めること」を盛り込むとしている。ただし私学振興と憲法第八十九条とのかかわりについてはさらに検討を要するものと指摘している。
 私立学校教育の振興以外の十八項目は、(1)前文(2)教育の目的(3)教育の目標(4)教育の機会均等(5)生涯学習社会への寄与(6)家庭・学校・地域の連携協力(7)家庭教育(8)幼児教育(9)学校教育(10)義務教育(11)大学教育(12)教員(13)社会教育(14)政治教育(15)宗教教育(16)教育行政(17)教育振興基本計画(18)補則。
 このうち「前文」に関しては、法制定の背景、教育の目指す理想、法制定の目的を取り上げており、「教育の目的」は「教育は、人格の完成を目指し、心身ともに健康な国民の育成」としている。
 教育基本法の見直しを行い昨年三月、答申をまとめた中央教育審議会でも大きな焦点となった愛国心に関しては、「教育の目標」の中で、「伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養」と「伝統文化を尊重し、郷土と国を大切にし、国際社会の平和と発展に寄与する態度の涵養」の二つの案を提示している。またここで言う「国を愛し」あるいは「国を大切にし」については、統治機構を愛するという趣旨ではないことは両党間で確認している。
 「学校教育」に関しては、「学校は、国・地方公共団体及び法律に定める法人が設置できること」などとしており、「大学教育」については、「大学は、高等教育・学術研究の中心として、教養の修得、専門の学芸の教授研究、専門的職業に必要な学識と能力を培うよう努めること」と規定している。
 「宗教教育」に関しては、「国・公立の学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない」としているが、宗教教育及び宗教的情操の内容と取り扱いは、さらに検討を要する課題としている。
 このほか義務教育制度の年限の扱い、中等教育の意味と高等学校、大学の位置づけ、職業教育、学校教育における学習者の責務、教育における国と地方の役割などを今後の論点として挙げている。

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