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記事2004年6月13日 1936号 (5面) 
新世紀拓く教育 (24) ―― 東横学園中学・高校
日経エデュケーションプログラム発表
3チームがプレゼンテーション
 今年二月二十八日、東京・大手町の日経ホールほかで開催された「日経エデュケーションプログラム作品発表会」に、東横学園中学校・高等学校(矢島了子校長、東京・世田谷区、女子校)の中学三年生一チームと高校一年生二チームが、優秀作品賞に選ばれ出場した。開会式では協賛の日産自動車のカルロス・ゴーン氏が講演するなど、企業トップも出席。作品発表は、出場した三十八チームがテーマごとに各会場に分かれて行われた。プレゼンテーションで与えられた持ち時間はわずか十分間。緊張したものの「悔いの残らない」(中三・田丸麻起子さん)発表を行った。
 日経エデュケーションプログラムは、平成十五年度から開始された中学生・高校生対象の学習教材。協賛企業からのミッションを実践する「コーポレートアクセスコース」と先人の生き方を学ぶ「私の履歴書コース」がある。
 初年度の参加企業等は、コナミ株式会社、積水化学工業株式会社、日産自動車株式会社、野村證券株式会社、ブックオフコーポレーション株式会社、株式会社吉野家ディー・アンド・シーの六社とヤマト福祉財団だったが、全国三十七校六千人がこのプログラムに取り組んだ。
 優秀作品賞に選ばれた東横学園の三チームは、いずれも「コーポレートアクセスコース」で、企業の出すミッションを、生徒たちがその企業の仮社員となって計画立案し、プレゼンテーションするというもの。
 それぞれのミッションは、中三BCチーム(四人)が積水化学工業の「夢のマイホームを提案せよ」、高一Bチーム(三人)は野村證券の「二十代の個人投資家が増えるような広告案を提案せよ」、高一Cチーム(四人)は日産自動車の「一〇〇万台日産の車を売るにはどうすればいいか」だった。
 ミッション「夢のマイホームを提案せよ」の中三BCチームは、家族構成を両親・祖母・中学生と小学生程度の姉弟という五人家族と設定。パソコンソフトのパワーポイントを使って平面図を描き、模型も作った。室内はバリアフリーとし、ホームエレベーターを設け、それぞれに個室を作り、環境に優しい太陽光発電を備えた家を設計した。積水化学工業からは、お母さんのためのワークスペースがいいと評価が高かった。
 「二十代の個人投資家が増えるような広告案を提案せよ」の高一Bチームは、若者受けのするかわいいカエルのキャラクターを作り、そのカエルの大きなイラストと「株でお金が返る、そして日本がよみがえる」というコピー入りの新聞全面広告案を提案。
 野村證券の評価は参加チームの中ではトップだったという。
 「一〇〇万台日産の車を売るにはどうすればいいか」の高一Cチームは、トイレも気軽に借りることのできるコンビニエンスストア風の販売所作りというユニークなアイデアを提案。イラストを描いて紙芝居風にコンセプトを説明したあと、それを自作自演したコマーシャルビデオも上映、会場を沸かせた。日産自動車からは「面白いね」とほめてもらった。
 東横学園中学校高等学校が日経エデュケーションプログラムを導入したきっかけは、平成十四年度にモデル校になったことだった。
 このプログラムが本格的に始まった十五年度は、中学三年生六十六人と高校一年生百一人全員が取り組んだ。協賛企業六社からミッションが来たのは十五年六月。各自興味のあるミッションを選び、中学生は十八チーム、高校生は二十四チームが編成され、それぞれテーマに沿って活動を始めた。
 すぐにインターネットなどで企業研究を行い、九月に入るとアンケート調査や企業訪問などのフィールドワークを行った。
 十二月になると、提案のための資料作りに入った。翌一月に行われる校内発表会に向けてのプレゼンテーションの練習も始まった。一チームの持ち時間は十分。それだけに簡潔で十分な説明と説得力が要求され、冬休み返上で取り組む生徒も多かった。
 十六年一月、校内発表会が行われた。評価は、論理性、調査力、表現力、独創性に各五点ずつを配点し、満点は二十点。評価も生徒たちが行った。
 校内発表会の後、全チームの報告書を主催の日本経済新聞社に送った。二月十八日、その返事がメールできた。優秀作品賞に選ばれた三チームへの、「日経エデュケーションプログラム作品発表会」の招待状だった。生徒たちは跳び上がって喜んだ。興味深いのは、この三チームが、校内発表会で高得点を取ったチームとは別のチームだったことだ。
 大手町で行われた作品発表会が終わって、高一Cチームの畠山みどりさんは「将来、私たちは社会の中心になります。そのときに日経プログラムでの経験は私たちに大きな力を与えてくれることでしょう」(抜粋)と感想を書いている。
 同校は総合的な学習として日経エデュケーションプログラムのほかにも、スウェーデン大使館と連携した福祉学習(中学二年次・高校二年次)やプレインターンシップ(中学三年次)などの活動をしており、総合主任の飯田公彦教諭は、このプログラムに取り組んだ生徒たちの様子を「ユニークなアイデアが飛び出したり、街頭インタビューしたり、とても活発です」と話す。
 平成十六年度も日経プログラムを実施する。中学三年生は昨年度と同じ内容だが、高校一年生はモデル校として日経メディア探求プログラムで新聞製作を行う。実際に日本経済新聞社の輪転機で新聞を刷ってもらえるため、どんな紙面ができるのか、今から楽しみだと飯田教諭は語る。


20代の個人投資家が増えるような広告案を提案した高1Bチーム

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