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記事2004年6月13日 1936号 (8面) 
ユニーク教育 (129) ―― 横浜山手中学・高等学校
山手プロムナード・コンサート開催
歴史的施設視野に地域文化に貢献

渡邊理事長

 山手プロムナード・コンサート「第二回バロック室内楽の愉しみ」(主催=横浜山手女子学園国際文化アカデミー、カトリック山手教会)が五月十五日、横浜市のカトリック山手教会を会場に催された。
 横浜山手女子学園(渡邊順生理事長、横浜市中区)、横浜山手中学・高等学校(西義行校長)は明治四十一年、渡邊たま女史が「教養を高め、経済の知識を身につけた」女性の育成を通じ、その社会進出を支援したいとの熱い思いから創設した女子の夜学校を母体としている。根底に流れている思想は人間教育を軸とした全人教育であり、現在でも同校の教育方針として受け継がれている。
 「近代日本の西洋文化の受け皿となった横浜山手を再認識し、周辺の洋館や教会など歴史的施設の活用を視野に入れながら、音楽会や講演会などを継続的に企画していきたいのです」
 渡邊理事長は横浜山手で開くコンサートの意義についてこう語る。
 そのために同学園内に平成十五年六月に設立されたのが、「横浜山手女子学園国際文化アカデミー」(渡邊理事長、石本渥事務局長)だ。
 この日の出演者は、渡邊理事長(チェンバロ)はじめ、朝岡聡(リコーダー)、渡邊慶子(バロック・ヴァイオリン)、平尾雅子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)の各氏。渡邊理事長は大学卒業後、アムステルダム音楽院でチェンバロを巨匠グスタフ・レオンハルト氏に師事し、最高栄誉賞付きソリスト・ディプロマおよびプリ・デクセランスを獲得。現在、チェンバロ、フォルテ・ピアノ、クラヴィコードを演奏し、また指揮者としても活躍している。
 アナウンサーとして活躍中の朝岡氏はリコーダー歴三十年に及ぶ。この日は曲の紹介も兼ねて出演。
 会場となったカトリック山手教会は、同校の正面に位置し、一八六二年、フランス人神父ジェラール氏が建てた横浜天主堂が前身。大聖堂にはチェコのプラハで親しまれている聖母子像が描かれているステンドグラスが目を引く。
 同校の中学一年と、地域の人々で教会は和やかな雰囲気に包まれた。
 演奏された曲はトリオ・ソナタ ヘ長調(J・S・バッハ)、トリオ・ソナタ ニ長調(ルクレール)、スペインのフォリア ニ短調(マレ)、膀胱結石切開手術図(マレ)、クラヴサン・コンセール第四番 変ロ長調(ラモー)、ソナタ ヘ長調(ヘンデル)、ロザリオのソナタ第十番 ト短調《十字架上のキリスト》(ビーバー)、トリオ・ソナタ イ短調(テレマン)。
 バロック音楽は一六〇○年ごろから十八世紀後半まで流行した室内音楽で、この日、演奏された四楽器はいずれもバロック時代の代表的なもので、バッハは代表的作曲家の一人。
 会場は朝岡氏の時折ユーモアを交えたトークと、優しく心に響いた演奏で魅了された。
 「本学園の生徒に対する文化意識の啓もうにとどまらず、横浜の地域文化へ貢献したいという思いも込めています」(渡邊理事長)
 同校は現在、中高一貫六カ年教育と高校三カ年教育を展開、高校は普通科と商業科からなり、(1)国際教育(2)情報教育(3)会計学を中心とした商業教育――の分野で特色ある教育を行っている。
 山手プロムナード・コンサート「第三回J・S・バッハ・四台のチェンバロの饗宴―渡邊順生と仲間たち―」は十月二日、横浜市・横浜みなとみらいホール小ホールで開催される。
(予約問い合わせは、オフィスアルシェ 03-3952-8788、横浜山手女子中学・高等学校 045-641-0061まで)


教会は和やかな雰囲気で包まれた

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