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記事2004年5月23日 1933号 (1面) 
自民私学振興小委私学5団体から意見聴取
高等教育予算先進国並みに
国庫補助一般財源化反対
国公私同じ条件下で競争を
 自由民主党の文部科学部会・文教制度調査会合同会議の下に設置されている私学振興小委員会(委員長=鈴木恒夫・衆議院議員)は五月十一日、東京・永田町の党本部で第二回会合を開き、私学五団体の会長らから今後の私学振興に関する要望や三位一体改革への意見等を聴取した。この中で私学団体代表は高等教育予算への国家予算の支出を欧米先進国並みに近づけること、高校等の私学助成を一般財源化しないことなどを要望、株式会社の教育参入の全国化への懸念を表明した。

 第二回小委員会は早朝、五十人を超える議員が出席して予定の時間をオーバーして行われた。私学団体からは、日本私立大学団体連合会の大沼淳副会長と清成忠男副会長、日本私立短期大学協会の川並弘昭会長、日本私立中学高等学校連合会の田村哲夫会長と吉田晋常任理事、全日本私立幼稚園連合会の北條泰雅常任理事、全国専修学校各種学校総連合会の鎌谷秀雄会長と中込三郎副会長らが出席し、意見を述べた。
 この中で大学に関しては大沼副会長が高等教育への国の財政支出を欧米先進国並み(国内総生産の一%)に近づけること、国公立と私立とで競争条件を同一にすること、株式会社が大学等の設置主体となりうる構造改革特区での特例措置の全国化については慎重な対応を求めた。
 日短協の川並会長は、経常費補助の重点的な実施、留学生に関して予算上の一層の配慮、株式会社等の学校経営参画の全国化については慎重な対応等を求めた。
 中高連の田村会長は、政府の三位一体の改革で私立高校等に対する国庫補助が廃止され、一般財源化されかねない状況にある問題を取り上げ、高校等の学校教育では父母の経済負担の格差が公私間で五・八倍にも広がっている点を強調、暗に私立高校等の国庫補助金一般財源化反対の考えを示した。全日私幼連の北條常任理事は、公立幼稚園としての役割を終えた地域においては、私立に役割を譲ることで公私間の格差是正を行うべきだとの考えを示した。
 全専各連の鎌谷会長は、高等教育のグランドデザインの中に専門学校を明確に位置づけること、専修各種学校も激甚災害法、経常費助成の対象にするよう求めた。このあとの私学関係者と議員との質疑応答では、中高連の田村会長が私立高校等の国庫補助金の一般財源化に反対との考えを示し、どうしても一般財源化される場合は、国による何らかの関与を明確にした上で行うしかないとした。そのほかバウチャーの導入の是非が質問されたが、私学関係者は反対あるいは消極的とする回答だった。また議員からは「公私間格差是正については、私学助成を増やすだけでは問題は解決しない。憲法改正論議の中に教育の機会均等の理念を盛り込むべきだ」とする意見も聞かれた。

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