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全私学新聞

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記事2004年5月23日 1933号 (1面) 
食育や不登校テーマに全私学教育サロン開催
香川女子栄養大副学長、三池熊本大医学部付属病院長講師に
医学面から改善策提示
全私学新聞運営委員会(浅田敏雄代表)は五月十四日、東京・世田谷区の昭和女子大学を会場に第十八回全私学教育サロンを開催した。今年は食育への関心の高まりや、不登校問題が依然深刻な状況にあることなどを受けて、医学者である香川靖雄・女子栄養大学副学長に食育で防ぐ生活習慣病について、三池輝久・熊本大学医学部付属病院長に不登校の長期化を予防する方策について講演していただいた。

 全私学教育サロンは全私学新聞の改題創刊十周年を記念して始められた。時々の社会的関心事などを取り上げ、第一線で活躍の学識経験者や国会議員、自治体の首長といった方々を講師に招き、教育に役立つ講話を伺うとともに、講師と参加者が胸襟を開いて話し合える場となっている。過去には現総理の小泉純一郎氏(衆議院議員)も講師を務めている。
 また今年は教育に力を注ぐマイクロソフト株式会社が資金面で応援、例年にもましてにぎやかな集まりとなった。
 第一部で講演した香川氏は食育の重要性を強調したが、政府も昨年あたりから知育・徳育・体育と並ぶ基本的で重要な教育と位置づけ、新しく栄養教諭制度を設けるなど、小学校段階からの食育教育充実に力を注ごうとしている。そうした中で香川氏は、日本人の食事が欧風化したことなどにより高血圧、高脂血症など生活習慣病が増え、それに伴い医療費も膨らんだこと、学齢期の子供たちにも肥満傾向やすぐキレるなど精神的に不安定な状況をもたらしている点などを挙げ、朝食を抜くなど不規則な食事習慣の改善や栄養バランスへの配慮の必要性などを強調した。また規則正しい食事やバランスの取れた食事が学力の向上にもつながることを調査結果をもとに解説した。
 一方、三池氏は子供たちが不登校に陥る原因例を説明した上で、不登校状態の子供の三割が長期化の様相を見せ、その半数が社会的引きこもりとなっていることなどを指摘した。こうした状態に陥った子供たちに関しては、教師や保護者、小児科医らが話し合い二週間ほどの治療スケジュールを作成すること、発症後の治療には高照度光治療による睡眠障害の改善、メラトニンを中心とした睡眠リズムへの薬物療法などが極めて有効なことなどを強調した。
(近く詳報)

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