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記事2004年4月3日 1929号 (5面) 
トップインタビュー 教育はこれでよいのか 国際的に通用すること
株式会社プラップジャパン取締役副社長 杉田 敏氏
英語教育は中学から
時間という資源を上手に管理



 杉田氏と英語との付き合いは中学校からだ。一年二学期から授業らしい授業が始まったが、このとき出会った英語の教師が、忘れられない恩師となった。「先生には大人の包容力というものを教えてもらったような気がします。家族以外で初めて会った大人という感じでした。知らないのに知っているふりをする先生もいたから」と杉田氏は振り返る。
 大学卒業後、文章を書くことが好きで、「朝日イブニングニュース」の記者になり、その後、アメリカ・オハイオ州立大学に留学、ジャーナリズムを学び修士号を取得した。アメリカで新聞社「シンシナチ・ポスト」の経済記者を務めた。ここでは、取材、写真撮影から新聞のレイアウトまでこなした。
 「やさしいビジネス英語」(NHKラジオ)の講師を始めたのは、一九八七年からだ。「それまではビジネス英会話の講座がなかったから」だ。この講座のベースになったのが『戦略的ビジネス英会話』(一九八一年発行、旺文社)だった。十六年間続いたその講座(二〇〇二年からは「ビジネス英語」と変更)も昨年三月終了した。
 「講座の内容を考えるのは大変でした。学校の英語の授業では教えない、現実の社会での出来事で使用する英語をなるべく取り入れました」
 視聴者からの反応が多かった内容は健康、栄養、ペット、仕事と人生などだった。
 学校で教える英語とビジネス界で使用する英語との違いは。
 「学校英語は試験のためのもので、試験も○か×形式が多いが、ビジネス英語は現実の社会で起きている出来事ですから、さまざまな言い方が考えられ、柔軟性があるのです」
 「やさしいビジネス英語」に出てくる表現には、かなり難しいものもある。「この内容をやさしく聞こえるようになるまで勉強しなければならないと言ってきました」と、内容は着地点であることを強調する。
 最後の年は、アメリカ同時多発テロ事件、大学教育事情、企業退職後の話題などかなり社会問題にまで及んだ。
 英語教育については「小学校から始めるのは早すぎるのではないか。中学校からきちんと始めるのが重要だと思います。英語の勉強は繰り返し声に出して読むことが大事です」と、小学校からの英語教育については懐疑的だ。
 「国際化、国際人の養成とよく聞きますが、国際人は言葉だけの問題ではなく、考え方、行動とも関係してきます。海外に駐在している日本人には国際人といえるのか疑問に思える場合が見うけられます」と、見方は厳しい。
 「国際的に通用することとは、現地の人とのコミュニケーションの仕方、異文化の人たちに自分の考えを伝え、相手の考え方を受け入れることができることです」と指摘。
 企業の副社長をしながらラジオ番組を続けるには、時間が絶対的に必要になってくる。起床は四時過ぎ、現在も続いている。
 「(朝の十分間は)やるべきことの優先順位を考え、自分に残された時間を有効に使うために、とても大切な時なのです。その際、その日の予定だけを見るのではなく、一つ一つの行動が自分の人生の目標にどう結びついているのかをよく考えることです」
 常日ごろ、心掛けている言葉は、
 「So little done, so much to do.」
(達成したことはあまりにも少ない。やるべきことが多い。)
 「悔いのない人生を送るためにも、時間という限られた資源を上手に管理するのは大切です。人生はそれほど永くはないのですから」
 視聴者の熱い要望に応えて十月から「ビジネス英語」が再開される。ビジネスマン杉田氏の多忙な日々が続いている。

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