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全私学新聞

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記事2004年4月3日 1929号 (2面) 
三私大団体が事業計画等で総会
国立大学法人化、第三者評価などに対応
国立大学法人化の影響など調査 広報、職員研修も充実
私大連総会

安西会長

平成十六年度は国立大学の法人化が実施され、第三者評価も開始される。私立大学をとりまく環境が厳しさを増すことが予想される中で私立大学団体は先月、相次いで総会を開催し、高等教育の更なる質的向上のために、新規事業の立ち上げや、事業の充実・強化を決定した。

 日本私立大学連盟(会長=安西祐一郎・慶應義塾長)は三月十六日、東京・市ヶ谷の私学会館で第百六十五回春季定例総会を開催し、国立大学法人化が私立大学に与える影響の調査、学納金のあり方の検討、加盟大学の広報活動など新規事業を含めた十六年度の事業計画、予算を決定した。
 同連盟では国立大学の法人化制定を受けて平成十四年にも、高等教育における国立大学の役割などについて調査報告を発表したが、国立大学法人が始動する今年度、改めて高等教育における国立大学法人の役割や、国立大学法人化が私立大学に及ぼす影響について調査研究を行う。また私立大学の学納金について、より透明性の高い設定を目指し、加盟大学の現状を把握・検討する。また学校法人の経営破たんに備えて、危機管理のあり方を調査研究するリスク・マネジメント分科会を開設する。
 広報事業については、加盟大学・私立大学の取り組みなどを教育関係者だけでなく、広く社会に知ってもらう方法を検討し、実現を図る。
 新規研修事業の一つとして、スタッフ・ディベロップメント研修を行う。これは六月から計四回の合宿研修で、グループ討議や共同研究などを通じ、大学運営の現状や課題を把握できる総合的な視野を持ち、リーダーシップを発揮できる人材を育成するもの。対象は三十歳から三十五歳程度の職員を想定している。
 また、総会では十五年度に行った調査研究について報告があり、いずれも承認された。
 報告があったのは卒業時共通試験の導入などを盛り込んだ「日本の高等教育の再構築へ向けて(U):十六の提言」、「教員評価システム導入に関する提言(中間報告)」「私立大学における第三者評価」など。
 教員評価に関する提言では、「教育面・研究面・行政面での評価実施がいずれも二〇%未満」など、学長会議アンケート結果による加盟大学の現状を明らかにした上で、実施する際の留意点として、私立大学の特色を促進する教員評価であることなどを挙げている。基本的な視点として大学教員のアイデンティティーは、とかく研究面に偏りがちであることから、教育・研究の両者の調和を可能にする評価に改革すべきだとし、評価の透明性を増すためには評価基準を数量的に表示することも必要だとしている。
 また「私立大学における第三者評価」では、大学ごとの評価ではなく、大学、学部、大学院を個別に評価対象とする考えを明らかにした。学問分野ごとに評価すべき項目や重みが異なるという考えによるもの。加えて評価の機能として、「基準評価」「達成評価」のほかに、当該大学がどのような水準に位置するかを示す「水準評価」を定めるとしている。いわゆるランキングとは異なるもので、統計モデルにより総合的に数値化し、評価する。
 この報告内容について合意が得られれば、大学基準協会と協調・協業を指向していく方針。

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