こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2004年4月23日号二ュース >> VIEW

記事2004年4月23日 1931号 (2面) 
国公立中高一貫校「適性検査」など見直し 中高連意見書
学力検査化で是正要請
12月など早期入学者選抜改善必要
小学校教育に影響
 日本私立中学高等学校連合会(田村哲夫会長=渋谷教育学園理事長)は、四月十三日、国公立中高一貫教育校の生徒募集について、早くは十二月二十日に入学者選抜を実施する学校もあり、小学校教育に大きな影響を及ぼしているとして、文部科学省に是正措置を求める意見書を提出した。都内の私立中学校の入学者選抜解禁日は二月一日。

 意見書の中で中高連は、平成十一年四月に法律に基づく中高一貫教育制度ができて以来、中等教育学校や併設型中高一貫教育校等が増加の一途をたどり、平成十五年度で百十八校(うち国公立は八十三校)を数え、十六年度には新たに十六校の公立一貫教育校が設置されたことに言及。
 そうしたなかで国公立中高一貫教育校では、出願日を早期に設定し、入学者選抜を前倒して実施する例が多く見られ、入学者選抜で実施されている適性検査の内容も学力検査と同様に相当の学力と準備が必要なものとなっており、一部の進学塾では適性検査に向けた指導が行われていること、多くの学校は高い競争率を示していることなどを明らかにし、小学校教育への重大な影響、児童への影響を懸念している。
 もともと法律に基づく中高一貫教育校創設が決まり、国公立に一貫教育校の道を開いた際、中高一貫校については、受験準備に偏した受験エリート校化しないよう十分配慮すること、入学者の選抜では学力検査を行わないことなどが国会でも申し合わされ、文部科学省もそうした趣旨を各都道府県に通知していた。
 それにもかかわらず適性検査の内容など実態は、制度導入当初の趣旨と異なる方向に動きつつある。そのため意見書では、児童生徒、保護者に混乱を招かないよう各設置者は本来の目的に立ち返り、中高一貫教育校開設の主旨や適性検査の在り方を見直すよう求めている。文部科学省に対しては、制度を創設した国として制度本来の目的に沿った健全な学校運営に向けて適切な是正措置の実施を要望している。
 同連合会の抽出調査では、公立校の場合、十二月下旬から一月上旬に適性検査を行う学校が多く見られ、国立校でも一月末までに実施する学校が数多くあった。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞