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記事2004年4月23日 1931号 (4面) 
社会のニーズに応えて地域に貢献
新構想の学科・地域総合科学科
 短期大学の志願者減少の歯止めと期待をかけられて、二〇〇三年度にスタートを切った新構想の学科、地域総合科学科。初年度は四短期大学が短期大学基準協会(川並弘昭会長・聖徳大学短期大学部理事長・学長)の認定を受け、〇四年度にはさらに十短期大学が、新入生を迎えた。今年度開設した地域総合科学科は、すべて志願者・入学者ともに増加しており、期待以上の成果をあげた。ここでは〇四年度、地域総合科学科に初めての新入生を迎えた短期大学を六校紹介する。各校とも就職や資格取得を意識しつつ、ショートプログラムを中心とした多彩な科目、多様性のある履修形態をそなえ、社会人の受け入れや地域貢献も視野に入れている。学生の主体性を尊重するそのあり方は、新しい短期大学の姿としてさらなる期待がかけられそうだ。
【新島学園短期大学】
キャリアデザイン 学科設置と 共学化実現
卒業時最低でも2資格取得目指す


 昨年開学二十周年を迎えた新島学園短期大学(高崎市)では、改組の一環として保育学科の新設と同時に共学化を実現。既存の国際文化学科はキャリアデザイン学科に改組し、地域総合科学科の認定を受け、本格的な再スタートを切った。この改組には、地元企業、卒業生、高校生からの要望が盛り込まれている。
 同短期大学では、志願者減を受けて二〇〇二年二月、改組転換検討委員会を設置、短大としての使命を再検討した。同年四月に着任した中島伸一学長は、同法人が経営する中学・高等学校の出身だ。
 「新島学園の県内での評価は、決して悪くないのです。女性の四大志向、実学志向のため短大全般が苦しむという、社会的な要因が大きかったのでしょう」と当時の志願者減を分析した。
 改組にあたって、企業に「短大卒業生には、どんな能力・資格を持っていてほしいですか」、卒業生に「短大に戻るとしたら、どんな資格を取りたいですか」、高校生に「どんな資格を取りたいですか」とアンケートを行った結果から、実現可能なものを取り入れ、英語・IT・ビジネス・自己発見・現代社会・進路選択という六グループの中に四科目からなる二十四のユニットを持つキャリアデザイン学科が完成した。特徴的なのは自己発見グループで、日本を知る・地域を知る・人間を知る・文化を知る、の四つのユニットがあり、たとえば日本を知るため近・現代史、地域を知るため群馬の人と企業、人間を知るため心理学や宗教、文化を知るため思想や美術などを学ぶ。
 また、TOEIC、TOEFLの受験や、英語検定、シスアド、MOS、色彩検定、ファイナンシャルプランナーなど幅広い資格取得の指導を行う。どのユニットを選択しても、一年に一つ以上の資格取得を目指し、卒業時に最低二つの資格を取得していることを目標とする。担当教員は、各資格の全国平均合格率を上回るよう、補習を含めた指導を行う。
 また、同学科では徹底した履修指導を施す。地域総合科学科は、全般的に必須科目が少なく、自由度が高いことが魅力の一つだが、反面、目的が定まらない学生にとっては、この自由度が悩みの種となる。そういった学生の悩みに、一教員に対し、十三人までのゼミナール方式で対応する。新入生は入学直後のヘッドスタートプログラムの中で日本労働研究機構の職業診断テスト「VPI職業興味検査」を受ける。この結果に基づいて教員は、学生に自分の資質を自覚させ、適性のある職業を認識させ、対応する資格取得・履修指導へとつなげる仕組みだ。
 「私は〇〇になりたい」と強い意志があれば、それを尊重するが、目的が定まらない学生は、診断結果と教員の指導を道標として学生生活を送る。
 また、これまでもキャベツで有名な嬬恋村での農業体験など、特色あるインターンシップ・ボランティア活動を行ってきたが、今後は常に職業を意識するという観点から、インターンシップも職業適性に関連する業種の企業へお願いするというから、徹底している。
 同学科長の井上尹教授はキャリアデザイン学科の主旨についてこう語る。「なにを勉強したらいいかわからない学生は、まず入って勉強しながら進路を考えることも可能です。それがキャリアデザインであり、これこそが短大のよさです。専門学校のように目的が限定されていると、方向転換に対応できません。専門学校ほど専門に特化できない短大の弱点が、逆に利点になります。学んだことが無駄にならず、積み上げていけるからです」。
 また、四年制大学への編入も、キャリアの一つととらえ、力を入れる。同短期大学からは、毎年十五から二十人が四年制大学に編入学してきた実績がある。群馬大学にも二〜三人が入学しており、高崎経済大、同志社大、同志社女子大、フェリス女学院大など四十校への推薦編入枠もある。「こうした強みを生かしつつ、建学の精神であるキリスト教教育、また教養教育も行います。短大としてのスタンスを保ちながら、今年の実績もアピールできれば、来年度はさらに多くの新入生を迎えられるでしょう」と中島学長は自信を見せた。
【上田女子短期大学】
地域の声に耳傾けて
少人数ゼミ制できめ細かくフォロー


 上田女子短期大学(上田市)の松田幸子学長は「開学以来『住民への知的サービス』をモットーに、地域の人と交流をしていましたので、地域総合科学科の認定には教職員の意識も問われますが、これについては少しも心配がなかったのです」と言う。
 文部科学省に科名変更が受理されたのが昨年の七月、短期大学基準協会の適格認定を受けたのが十月。広報活動は実質三カ月だったにもかかわらず、志願者は倍増。二〇〇三年度は定員の半分を割り、三十九人の入学生を受け入れるに終わったのに対し、〇四年度の六十五人という入学者数は、地域との交流なくしては果たせなかった。
 昨年三十周年を迎えた同短期大学は、公開講座などの地域貢献を生涯学習という言葉が生まれるはるか前から、行ってきた。幼児教育の単科大学であったころは、公開講座の内容は親子・子育て問題が中心だったが、一九八三年に国文科を開設してからは一般教養も取り入れ、男性の受講者も増えた。
 一方で、開設後は好調で、八七年から九七年までの十一年間、八十名定員のところに百名以上の学生を受け入れた国文科が、十八歳人口減少に伴って定員を割ると、そこからは志願者・入学者が目に見えて減り続けた。かつて「不合格者を出し過ぎではないか」と苦情が寄せられたのがうそのよう。生き残りをかけた改革を余儀なくされた。ここで改めて「時代の要請」「地域の声」に耳を傾け、「十八歳は、今なにを望んでいるのか」を見つめ直すことになり、「なりたい私をコーディネートする」を合い言葉に総合文化学科が誕生した。
 地域の要望に応えたという点で、もっとも大きな変化は、観光学・ブライダルフィールドの新設。同短期大学のある上田エリアには、隠れ宿として誘客実績のある別所温泉があり、温泉、スキーリゾート、夏の避暑など、一年を通じて観光要素に事欠かない。この地域に根ざす短大として、観光ビジネスで即戦力となる有能な人材を送り出すことは、使命の一つだとの考えによるもの。このフィールドには、県内トップクラスのホテルの副総支配人や花博出場実績のあるフラワーコーディネーターを講師に迎え、アシスタント・ブライダル・コーディネーター、カラーコーディネーターの資格取得を目指しつつ、一歩進んだ女性人材の育成を図る。
 また、前身の日本文化学科でも人気が高かった表現コースは、フィールドとして作りかえた。ここでは学びながら実践することを重視、講義系の科目があれば、対応する実習・実技科目があり、詩や小説の制作など、主に活字での表現を学ぶが、アニメーションやコミック、そして書道など領域は広い。
 情報フィールドでは、情報を必須のツールと考え、出口保証を高めるためにも基礎を学ぶよう方向転換。加えてアニメ・CGなどを情報ツールによる表現という意味合いから強化、スタジオジブリの仕事も手がけるプロダクションの経営者を講師に迎えた。
 観光学、ブライダル、日本学、日本文学、表現文化、情報学、ライフ・コミュニティ、どのフィールドをメインにしても、資格取得は可能。ホームヘルパー、教職、図書館司書、学校図書館司書も取得可能だ。
 また、クラス担任制にかわって、少人数のゼミナール制を導入、きめ細かく学生の学習指導・生活面のフォローを行うことにした。
 中西満義学科長は「作ったことも意義がありますが、『これからどう変わっていくか』のほうが重要です。時代のニーズによって内容が変わらないようでは、本当の意味での使命は果たせません。学生や地域の声に耳を傾け、常に勇気を持って変化に挑む一方で、短大教育のスタンスを崩さず、松田学長が教育目標として掲げる人間教育を大切にしていきたいと考えています」とその意気込みを語った。
 今年度は広報の期間も十分、八月には地域文化向上のため、上田駅前の情報ライブラリーでの公開講座も始まり、さらなる躍進を目指す。
【新潟青陵大学短期大学部】
幅広いカリキュラム
昨年と比べ応募者がほぼ倍増


 新潟青陵女子短期大学(新潟市)は二〇〇四年四月に男女共学になり、校名も「新潟青陵大学短期大学部」と改まった。それに伴って従来の生活文化学科と国際文化学科は統合して「人間総合学科」に生まれ変わり、この新学科が地域のニーズに応え地域に貢献する地域総合科学科として、短期大学基準協会から適格認定された。
 人間総合学科にはベーシックと専門合わせて十三のフィールドがある。
 ベーシックフィールドは短大で学ぶ際の基本的な教養を培う教養課程で「社会生活とマナー」「キャリアプランニング」などの共通必修科目のほかに、選択科目として心理学、文学といった教養科目群、英語・中国語の外国語科目群、情報処理科目群、合計四つのユニットから成る。
 専門フィールドは従来の短大でいう専攻のようなもので、各フィールドの下にはそれぞれ授業科目をテーマ別に分けたユニットが構成され、専門フィールドからは、学びたいテーマに合わせて、ユニットを自由に選択できる。専門のユニット数は全部で四十に達する。専門フィールドは、ファッション、フード、ライフプランニングの三つが衣食住という生活の基本に対応する分野、次いで医療・福祉・保育、芸術・デザイン、国際理解・コミュニケーション、比較文化(西欧、英米、アジア、日本の社会と文化や貿易・観光サービスのユニットがある)、ビジネス実務、ストアワーク・マーケティング(流通と消費、市場、ビジネスの仕組みを学ぶ)、国際英語、留学生(外国人留学生に日本語の文法や会話、読解から作文・小論文の書き方を教える)、特別(四年制大学への編入学の準備、インターンシップによる企業体験、社会人聴講生向けなどのユニットがある)――と合計十二フィールドに分かれる。
 その際のカリキュラムの組み立て方として、短大部では、就職に備えて取りたい資格に合わせて科目を選ぶ・自分がなりたい職業・職種に役立つユニットにプラス役立つ科目を追加、さらにその職業に役立つ資格を絞り込み、資格取得に必要なユニットと追加科目を選ぶ・やってみたいと興味を持つユニットや科目などすべてあわせて組み立てる――といった方法をアドバイスしている。判断する上の参考資料の意味で就職戦線で役立つ一生ものの財産として代表的な三十四の資格を列挙し、その資格取得のためのユニットや追加の必要科目も紹介している。
 例えばフードスペシャリストの資格を取るためには、フードコーディネート、クッキング、フードマテリアル、フード&ヘルスのユニットを取るほか、生活統計、生活環境論、食品流通と消費、消費生活論の科目を追加する。ファッションビジネス能力検定三級をねらうなら、ファッション文化、ファッションクリエイティブ、マーケティング各ユニットにアパレル素材論、色彩文化論、消費科学をプラスするといった具合。
 それでも迷って決められない学生には、カリキュラムサポートデスクを設けて一人ひとりの相談にも応じる。また自分自身でカリキュラム作成や履修状況の点検を行えるよう、履修カードや履修チェックリストも用意されている。
 人間総合学科の募集定員枠はAO入試が百人、推薦入試が五十人、一般入試が五十人の計二百人だが、こうしたPRが実を結んで〇四年のAO入試や推薦入試などは、新学科の母体となった従来の二学科の昨年応募実績合計と比べて応募者がほぼ倍増、一般入試もかなり増えた。入学の決まった学生は資格取得に意欲的で、平均的な学生でも二〜三ユニット、欲張る学生は四〜五ユニットに手を伸ばしている。卒業単位は最小限にしても資格取得を最終目標に掲げる傾向がある――とアドミッションオフィスではいっている。
 新学科に対する高校生の関心が高まって応募者が増えただけ、社会人聴講生まで手が回らなくなり、地域総合科学科の一つの柱である社会人学生が伸び悩んだのは痛し痒しといったところだが、まずはおめでたい成り行きである。
【大手前短期大学】
ファッション、情報ビジネス、製菓など
学生の要望等に応えて改組


 「ファッションコースに入ったが、情報もやりたい」「専門は情報だけど、製菓もかじりたい」。
 大手前短期大学(伊丹市)では、学生からのこのような要望が絶えなかった。一九五一年に服飾学科の単科大学として設立され、九一年にファッションビジネスコース、住生活コース、情報ビジネス三コース制の生活文化学科に改組した。二〇〇三年度には同じ法人で専門学校を持つ強みで、専門学校並みの施設を備える製菓マネジメントコースを開設していた。将来のために「学ぶべきもの」の隣で「やってみたかったこと」の授業が行われていれば、気にするなというのが無理というもの。福井有学長も「学生たちの要望に、応えられていないことが、気になっていた」と言う。また、福井学長は学校の歴史の大半を支えてきたのは短期大学であることから「厳しくとも、先生がたや卒業生を思えば、なんとしてでも短大として生き残らなければならない」と考えており、方策として生涯教育で短大を活用してもらうことを考えていた。そこへ発表された地域総合科学科の構想。学生の希望に応えること、短大としての将来展望に加えてこれまで不十分だと感じていた地元へのサービスも解決できると判断、定員二百九十五人を地域総合科学科(名称ライフデザイン総合学科)へと改組した。同時に男女共学化、シティカレッジ開設も実現。広く門戸を開いた。
 同学科は、ファッションビジネス、住環境、アート&デザイン、情報&ネットワーク、ビジネス実務、表現&コミュニケーション、食文化、カフェ&ショップ、製菓マネジメントの九つの系を備える。一つの系には二〜五のユニットがあり、取得可能な資格は二級建築士受験資格、プレゼンテーション実務士、情報処理士、製菓衛生師受験資格など合わせて十種。
 二級建築士受験資格を得るには住環境系の住生活ユニット@からCを履修する。ファッション業界で即戦力となるには、ファッションビジネス系から複数ユニットを履修すれば、必要な知識や技術が身に付く。このように高い専門性を得ることもできるが、ウェブデザインを学びつつ、お菓子作りを極めるなど、変化に富んだ履修も可能だ。
 高澤圭一改組拡充準備室長が「大手前スタイル」と自信を持つのが時間割。他の短期大学の地域総合科学科では、前期は一つのユニットの授業が終日続き、後期になれば別のユニットの授業にいっせいにとって替わるものが多い。それに対して大手前スタイルは、前期の午前と午後に別のユニットを選択でき、二つの分野を学ぶ場合に気分の切り替えができるよう配慮してある。
 受け入れたばかりの新入生に、福井学長は多大な期待を寄せている。改組の結果、オープンキャンパスの来場者数が前年に比べて一・六倍になり、志願者は二割増。これも大きな変化だが、大事なのは数ではない。これまでオープンキャンパスでは、説明が終わると参加者は帰っていった。しかし昨年度は、相談コーナーにできた列がいつまでもなくならず、同じキャンパスの四年制大学の先生が驚いたほど。「こういう道に進みたいのですが、どのユニットを履修すればいいのですか」「製菓とウェブデザイン、両方受けられるのですか」など、具体的な質問が後を絶たなかったという。この熱意は、入学前にさらにはっきり現れた。入学前オリエンテーションに顔を出した高澤準備室長は「驚きました。後ろから見ていたら、学生の頭が動かない。背筋をぴしっとして話を聞き漏らすまいとする熱意が、背中からも感じられるほど。私たち教員も気が引き締まる思いです」と言う。福井学長も「地域総合科学科は作っただけではだめなのです。成功の秘けつは、新鮮なカリキュラム。熱意のある学生が来てくれたのだから、授業評価を迅速にユニット改編につなげるなど、機敏に対応していかなければいけない。責任は重大です」と、新入生の思いを大胆かつ敏感に受け止める覚悟でいる。二年後に六十周年を迎える同法人は地域総合科学科の構想を活用し「好きなものを、好きなときに好きなだけ学べる」短期大学へと、進化の第一歩を踏み出したところだ。
【聖徳大学短期大学部】
将来の夢を実現広い分野から学ぶ
免許や資格取得自由に選ぶ

 聖徳大学短期大学部(松戸市)は将来の夢の実現を目指し広い学問分野から自由に自分のカリキュラムを組み立てる総合文化学科を新設、短期大学基準協会から地域のニーズに応え地域に貢献する「地域総合科学科」としての適格認定を受け二〇〇四年四月にスタートした。
 この学科はこれまでの短期大学部・生活文化学科と文学科の実績の上に立って再編されたもので、四エリア十二ブランチで編成される。
 従来のコース制が定食メニュー的だったのと異なり、三百余科目の中からフレキシブルに学べる履修システムとなっている。
 教養、外国語、情報などの全エリア共通科目(十五単位)を学んだのち一つのエリアの中で一つのブランチ(三十二単位)を自分の必修として定め専門的に学ぶ。さらに同一エリアや他のエリアのブランチのほか免許や資格取得のための科目も選択科目として自由に選べる(十八単位以上)。合計六十五単位以上が卒業要件となる。取得可能な資格や免許としては幼稚園、中学校、養護の各二種免許状や司書教諭、図書館司書、訪問介護員(ホームヘルパー)などの免許・資格のほかに、民間資格のフードスペシャリスト(受験資格)、秘書士、ビジネス実務士、衣料管理士があり多彩だ。以前はこうした資格取得のための科目は卒業要件に数えられなかったため、資格を取るのはかなりハードだったが、今では卒業要件に算入され、効率よく目標の実現が目指せることになった。
 各ブランチの特色を見よう。
[デザイン・情報エリア]
 デザインブランチ=グラフィック・デザイナー、CGデザイナー、プランナーなどを目指す人にとって、すべてのデザイン活動のベースとなる基礎造形やコンピュータでの表現基礎を学ぶ。デザイン系では卒業制作にベンチ作りを競い優秀作がキャンパス内に毎年一台ずつ設置される伝統があり、新学科にも受け継がれる。
 ファッションブランチ=ファッション造形実習やデザイン画、アパレルCAD演習など着る人の個性を引き出す服づくりの基本的な技術とファッションセンスを磨く。
 インテリアブランチ=インテリアの計画・設計・CAD演習、住居学、福祉環境論を学ぶ。色彩検定などの各種検定試験やインテリアプランナーの受験を希望する学生をバックアップする。
 パソコン・インターネットブランチ=現代人に必要なパソコンとインターネットの知識と技能を学ぶ。
[フードエリア]
 フードブランチ=食の文化・伝統・調理を幅広く学び、フードスペシャリストとしてホテル、レストランなど外食産業や食品製造・流通業を目指す。
 製菓ブランチ=洋菓子づくりを楽しみながら豊かな人生を目指す多彩なカリキュラム。
 調理ブランチ=調理師試験を念頭に置いたカリキュラム。
 [トラベル・観光エリア]
 観光ブランチ=旅行会社や運輸関係、航空、空港への就職を目指し、観光地理・実務・関連法規、観光英会話など旅行業務全般を学ぶ。
 ホテルブランチ=ホテルの業務、サービスなどの基礎知識を学ぶ。観光ブランチの科目も選択して難関の旅行業務取扱主任者試験を目指すことも可能。
[文芸・言語エリア]
 文芸編集ブランチ=出版・放送業界を目指し、プロの指導で書く力、話す力、ボイストレーニングや編集作業を訓練する。
 図書館司書ブランチ=資料・情報管理のスキルを学び、卒業と同時に図書館司書の資格を取得。
 児童英語ブランチ=需要が高まる幼稚園などの児童英語指導者を目指し英語を楽しみながら正しくきれいな発音で子どもに伝える訓練をする。卒業後大学の児童学科や英米文化学科など関連学科への編入学の道が開かれていることは、十二のブランチすべてに共通している。
 また選んだブランチが自分の予想とは違ったと思った場合、一年後期と二年前期の初めに他のブランチへの変更が認められる。

【九州電機短期大学】
テクノプランニング学科設立
国家資格の取得最大目標に


 九州電機短期大学(北九州市)は小倉に電機学校を設立してから半世紀近い歴史を積む中で多くの技術者を輩出し「DENTAN」の名で知られてきたが、二〇〇四年四月から電気電子科と情報システム科を改組統合して、電気情報系資格の総合学科といえる「テクノプランニング学科」を設立、短期大学基準協会から地域総合科学科の適格認定を受け、新たなスタートを切ることになった。
 理系では特に検定試験合格などの資格をとることが実力の証明とみなされるが、DENTANではきめ細かい少人数教育を特徴としてこの資格取得面での実績向上を狙い、資格取得支援カリキュラムの強化を行った。
 二年間という限られた短期大学の学生生活において、将来の進路に対して非常に重要な意味を持つメーン資格(国家資格)の取得が最大の目標となる。メーン資格としては、システム系の基本情報技術者試験・ユーザー系の初級システムアドミニストレーター試験(略称シスアド)・工事系の電気主任技術者(略称電検)・電気工事士・通信系の電気通信主任技術者・電気通信の工事担任者を挙げている。
 メーン資格に掲げている資格はいずれも難易度が高く、権威のある資格となるが、学生全員がこれらの資格の中からいずれかの資格を目標として受講していく。在学中にメーン資格を取得した場合は、またさらに上級のメーン資格を目指していくこととなる。また、電検や工事担任者などは、在学期間中に一定の単位を取得することや卒業後の実務経験を積むことなどの条件を充たすことにより、資格試験の免除を受けることもできる。
 また、メーン資格を最大の目標としつつ、並行して基礎能力が問われるベース資格の取得も目指していく。ベース資格としては、ユーザー系で実務技能検定協会のディジタル技術検定・専修学校教育振興会の情報処理活用能力検定(J検)・パソコンユーザ利用技術協会のパーソナルコンピュータ利用技術認定試験、ビジネス系で日本商工会議所のビジネスコンピューティング検定試験と日商文書技能検定を挙げている。いずれも三〜五段階の級があり、ほとんど全員が受験していずれかの級を取得する。さらに好みや目的に応じて取得しておけば便利というオプション資格として、消防設備士・CAD利用技術者検定・CG検定・画像処理検定・C言語プログラミング能力認定試験・家電製品アドバイザー・家電製品エンジニア、ビジネス系では、秘書技能・簿記などの検定試験や認定試験を挙げている。そのほか一般教養資格としての日本漢字能力検定(十段階試験)は、ワープロを効率よく入力する技術や社会的な基礎能力を高めるために学生は全員受験している。資格取得支援カリキュラムは、それを勉強することによって取得を目指す資格ごとに検定試験実施日へ向けた講義が構成されている。カリキュラム構成には「試験日までに合格の実力をつけましょう」という意味が込められている。
 目標とする資格や等級がさまざまあり、筆記試験合格のあとには実技を課す試験などもあって、ほとんどマンツーマン指導で教える先生方の負担は大きくなる。
 しかし苦労の成果は男子九七・五%、女子九三・五%という就職率に現われている。コンピュータを使って設計を行うCADは建築設計、機械設計、電気電子設計などの業界では常識だが、CADを操作できるオペレーターはいつも不足しており、社会的なニーズも高まっている。就職先は九州が五七・五%と地域に貢献しているが、関東など他地区への進出も多く、卒業生の力量はいわば全国区として認められている。また四年制大学編入は全国に工業系短大が少ないだけに有利であり、国立大学などからも引く手あまたという状況である。
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