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記事2004年3月3日 1926号 (1面) 
日本版デュアルシステム専門高校等に導入 文科省協力者会議が提言
企業実習を充実
確かな職業観、実践技能育成
 若年者の高い失業率や二百万人を超えるフリーターが深刻な社会問題となっているが、文部科学省の調査研究協力者会議(座長=鹿嶋研之助・千葉商科大学助教授)は、二月十二日、専門高校等における「日本版デュアルシステム」の推進を求めた報告書をまとめた。日本版デュアルシステムとは、企業での実習と学校での講義等の教育を組み合わせて実施、しっかりとした職業観・勤労観や実践的な技術・技能を持った職業人を育てようという仕組み。

 日本版デュアルシステムについては、昨年六月、文部科学、厚生労働、経済産業、経済財政政策担当の四大臣が、深刻なフリーター問題等の解決に向け導入を決定、同月に閣議決定された「骨太の方針二〇〇三」でもその推進が盛り込まれている。
 今回の報告書で「日本版デュアルシステム」については、将来のスペシャリストを目指す専門高校生等にとって有意義な教育システムであり、産業界と専門高校等が連携を取りながら双方にとってメリットがあるように共同で人材を育成する教育システムを構築する必要性を指摘している。
 従来から行われている「インターンシップ」は、比較的短期間(大半が五日以内)の就業体験により社会人・職業人として求められるルールやマナーを身に付け、学習意欲を喚起するなどが目的だが、デュアルシステムは期間、目的でもより踏み込んだ制度。
 企業実習に関してはさまざまな形態が考えられるが、例えば一週間(五日)のうち、三日間授業、二日間実習、あるいは一、二カ月間企業でまとまって実習といった形態が考えられる。
 そのため学校と企業との役割分担と調整、実習希望生徒と受け入れ企業とのマッチング(第三者組織等が橋渡し)、受け入れ企業の開拓、企業への支援(必要経費の支弁について研究が必要)、企業実習の教育課程上の位置づけ、実施上の協定・契約、安全上の配慮、生徒への報酬などを検討課題としている。
 専門高校等における日本版デュアルシステムについて文部科学省は、十六年度から三年間をかけて全国十二地域でモデル事業を実施することにしている。
 また日本版デュアルシステムに関しては、文部科学省の委託を受けた財団法人産業教育振興中央会が、約八百校の専門高校等と約六百社の企業を対象に意識調査を実施しており、日本版デュアルシステムについて「実施に賛成」とした学校は四七・〇%、「どちらともいえない」が四五・九%、「実施に反対」が六・一%という結果だった。
 一方、企業側は同制度実施でメリットを実感できるための条件整備については、「学校側の事前準備」(勤労観や社会人としてのマナー)、「行政・受益者によるコスト負担」などを挙げており、「業務遂行の対価としての(アルバイト程度の)報酬を出してもよい」とした企業は五一・六%に上った。

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