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記事2004年3月3日 1926号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
特区の市町村教委が特別免許状授与
現職保育士に幼稚園教員資格認定試験
【教員養成部会】
 中央教育審議会の初等中等教育分科会教員養成部会(部会長=國分正明・独立行政法人日本芸術文化振興会理事長)は、二月十九日、文部科学省内で部会を開き、教育特区に限り市町村教育委員会についても特別免許状の授与を行えるようにすることと、保育所に勤務する現職の保育士が幼稚園教諭の資格も取得できるよう平成十七年度から「幼稚園教員資格認定試験」(二種免許状)実施することを了承した。
 特別免許状については、大学の養成教育を受けていない者に都道府県教育委員会が教育職員検定により免許状を授与するもので、優れた知識や技能を持つ社会人を教壇に迎い入れるのが目的。
 今回は、@市町村教育委員会が給与を負担して任命しようとする者A市町村が設定する特区で学校の設置主体に認められた株式会社やNPO法人が教員として雇用しようとする者――が対象者。授与される免許状の種類や授与手続きは現行と変わらないが、有効範囲は特区認定を受けた市町村のみで、現行制度にある普通免許状への上進(単位の修得等で普通免許状に切り替えることができる)はない。
 現行の都道府県教育委員会に加えて、市町村教育委員会も特別免許状の授与権者とすることに関しては、東京・千代田区(中等教育学校の設置を予定)等から規制の特例措置を求める要望が出ていた。
 一方、幼稚園教員資格認定試験については、当該受験年度の四月一日現在、保育所に勤務する現職の保育士(保育士資格を有する者)で、高校を卒業した者その他高校を卒業した者と同等以上の資格を有すると認められる者――が受験資格。
 試験内容は、一次試験(一日)が「一般教養」(短大、大学、専修学校専門課程卒は免除)と「教職科目T」(マークシート方式)「教職科目U」(論述式)「その他」で、二次試験(一日)は、「共通課題をもとにした指導案の作成」(筆記試験)。作問や願書受け付け、採点、合否判定等は大学が行う。資格認定試験については当分の間、実施する。規制改革の一環として保育士が大学等での単位取得を経ないでも幼稚園教員の資格を取得できるよう資格認定試験の実施の検討が求められていた。
 この日の部会では「幼稚園教員認定試験については合格率があまり低くならないように」といった意見も聞かれた。
 このほか教員免許状の授与資格を得させるための大学の課程認定(平成十五年度)に関する、文部科学大臣あての答申が國分部会長から文部科学省の近藤信司初等中等教育局長に手渡された。課程認定を受けた大学等は国公私立合わせて申請数と同じ二百六十校。

地域運営学校等の創設
特別支援教育見直しで特別委設置

【初中教育分科会、行財政部会】

 中央教育審議会の初等中等教育分科会と教育行財政部会は、二月二十四日、東京都内のホテルで合同会を開き、今後の学校の管理・運営の在り方に関する答申案をまとめるとともに、同分科会内に新たに特別支援教育について制度的見直しを行う特別委員会を設置することを決めた。
 答申案は、公立学校の活性化、多様な特色ある教育実現のために、地域住民や児童生徒の保護者らに公立学校の管理・運営への参画を可能とする仕組みや、公立学校の管理・運営を学校法人等に委託できる制度等を提言するもの。三月四日の中教審総会に提出され、審議される。
 この日の会合では、答申案に関して、二月十七日の前回会合で委員から出された意見に沿って文言等を修正した個所などが事務局(文部科学省)から説明され、改めて答申案を検討した。委員からは、学校の基本方針の決定権や人事に関する発言権を持つ学校運営協議会の委員について、「教職員を加えるべきだ」とする意見や、公立学校の民間への管理・運営の委託では、「教育の質が低下しないようにとの文言を加えてほしい」などの意見が出された。答申案の文言等の修正については木村孟・同分科会長に一任する形で了承された。
 これらの新制度に関しては、導入するかどうか、委員構成、学校運営協議会の議事等の決定は教育委員会に任されることになる。
 一方、盲・聾・養護学校教育、特殊学級、通級による指導といった特別支援教育に関しては、全児童生徒の中で対象となる児童生徒の割合が高まっていること、障害についても多様化・複雑化していること、そのためより専門的な知識・経験が必要となっていることなどから、児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う特別支援教育への転換が求められている。
 それを受けて制度面の見直しを検討するもの。
 現在、関係機関と連携した総合的な教育支援体制の整備に関しては、各都道府県でモデル研究事業が実施されつつある。
 この日の会合では、「障害を持つ子にとって学校を卒業した後のほうが長い。就労に関して企業の立場から発言できる場を作ってほしい」などの意見が聞かれた。
 このほか専門高校等での「日本版デュアルシステム」の推進を求めた文部科学省の調査研究協力者会議の報告の概要が説明されたが、委員からは「専門高校に限らず、普通科高校等も含めて地域を単位としたモデル研究をすべきだ」「(このシステムでの)企業側のメリットは」「企業へのインセンティブが大事だ」などの意見が出された。このシステムは専門高校等で学びながら企業でまとまって実習し、職業観・勤労観を身に付け、実践的な技術・技能を向上させるというもの。

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