こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2004年3月23日号二ュース >> VIEW

記事2004年3月23日 1928号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
インターネット大学、大学院
校舎等の規制緩和検討

【大学分科会】 
     
 中央教育審議会の大学分科会(分科会長=佐々木毅・東京大学長)は、三月十七日、都内で第三十三回の会合を行った。
 文部科学省からインターネット大学・大学院について、特区での校舎等施設の規制緩和の要望があることが示され、これにつき意見が交わされた。インターネット大学・大学院とは、対面授業を行わず、インターネットなど高度情報通信ネットワークのみを利用して授業を行う通信制の大学・大学院。大学・大学院の通信教育課程の設置基準の適用を受け、校舎面積等が規定されている。
 今回示されたのは、特区においては、施設等の基準を数値で定めず特に支障がない範囲とするかわりに、必須〓ルビひっ す 〓要件となっているものにいくつかの機能を追加してはどうかというもの。追加機能としては、通信障害に対応できる体制の整備、ヘルプデスク機能、通信制の大学で一般にチューターと呼ばれる履修相談などを担当する教職員の配置が例示された。これについて委員から出された「特区に限らず全国的に認めてもよいのではないか」という意見に対し、文部科学省は、三年前にインターネットのみの課程を置けるように規制緩和したが、現在のところ対面授業も行う大学内に設置された一課程(信州大学工学科情報工学専攻)しか開設されておらず、ここで対面授業の課程を持たないインターネット大学・大学院の新設についてさらに進んだ規制緩和を全国的に展開するのは時期尚早の懸念があると説明した。
 このほか構造改革特区での株式会社による大学・大学院の認可・設置の報告があった。これに委員からは、四月に開学する二校につき株式会社としての特性による点を含めた複数の懸念が示され、このような大学の設置を新しい学校の管理運営のあり方の一つとして全国的に認めていくかどうかについては、少なくとも卒業生が出るまで慎重な検討を重ねる必要があり、結論を急ぐべきではないという考えが示された。また、高等教育の将来構想に関するこれまでの主な意見や論点整理案が文部科学省から示され、今後はこれについて協議を行う予定。

盲・ろう・養護学校の区分け改め
特別支援学校創設へ

【特別支援教育特別委員会】

 中央教育審議会の初等中等教育分科会に新設された「特別支援教育特別委員会」が三月十八日、都内のホテルで初会合を開き、委員長に高倉翔・明海大学長を選出したほか、これからの特別支援教育の制度の在り方に関する審議を開始した。初めに事務局(文部科学省)から特別支援教育の現状や昨年三月に同省の調査研究協力者会議がまとめた最終報告「今後の特別支援教育の在り方について」の要点などが説明され、自由討議が行われた。同特別委員会では昨年三月の報告にそって制度の在り方が検討されることになるが、同報告では盲・ろう・養護学校という区分けから、障害種にとらわれず地域の小・中学校等に対する特別支援教育のセンター的機能を果たす「特別支援学校(仮称)」に改めること、LD、ADHD等を含めてすべての障害のある子供について個別の教育支援計画を策定し、すべての学校に特別支援教育コーディネーターを置き、特殊学級や通級による指導制度を、通常の学級に在籍したうえで必要な時間のみ特別支援教室(仮称)で特別の指導を受ける制度に一本化するなどを提言していた。初会合では委員から特別な支援を要する児童生徒の増加を受けて仕事に追われる教員の実態などが報告されたが、そうした状況も今回の見直しの背景にある。特別委員会は十八人体制。今後意見聴取を行いながら、今夏には中間報告を、早ければ年内にも答申をまとめる。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞