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全私学新聞

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記事2004年2月3日 1923号 (1面) 
中教審教育行財政部会に私学3団体(幼・小中高)意見表明
地域運営学校公設民営方式 私学への影響配慮を
過当競争招く恐れ
学校選択できる環境に
 日本私立中学高等学校連合会、日本私立小学校連合会、全日本私立幼稚園連合会は一月二十七日、都内で開かれた中央教育審議会教育行財政部会の意見聴取に出席し、同部会が検討を進めている「地域が参画する新しいタイプの学校運営の在り方」や「公立学校の民間への包括的委託」等について、慎重な検討と、私立学校との関係や影響の考慮等を求めた。中教審は三月中に学校の管理運営の在り方で答申をまとめる予定で、文部科学省は今国会中に関連法の改正案を提出する構え。

 私学関係三団体からの意見聴取は、そのほかの教育・経済団体と合わせて行われたもの。この日行われた意見聴取は、私学三団体を含め九団体から行われた。これに先立ち一月二十一日にも教職員団体など六団体から意見聴取が行われている。
 意見聴取の中で、日本私立中学高等学校連合会(堀越克明会長=堀越高校長)は、公立学校の改革は着実に進められており、これを超えて不確実な「需要」に備えて新たな公費支出を伴う改革を実施しなければならないという緊急性や必要性があるとは思えず、「地域運営学校」(地域が参画する新しいタイプの学校)のベースとなっているコミュニティー・スクールの考え方や仕組みさえ十分社会的理解が得られていない中での新たな管理運営の制度化については、「判然としない」との考えを表明。また学校が地域に振り回されて教育の専門性や独自性を保てなくなったり、新たに大きな権限を持つ学校運営協議会が独善的に陥る危険性なども指摘、三年前に制度化された「学校評議員制」の評価が先決とした。今回の公設民営方式については中途半端とし、むしろ学校の土地等を無償で提供して学校法人を設置、そこで学校法人にしっかりと責任を取らせる、また国民が学校選択できるような補助制度にするなど大きな目での管理運営や、制度改革による私学への影響の検討などを要請した。
 全日本私立幼稚園連合会(三浦貞子会長=白ゆり幼稚園長)は、公立幼稚園の運営等を新たな機関に委託し、より効率的・地域に密着した運営形態を模索するとの提案については評価しうるとしながらも、公立幼稚園と私立幼稚園が併存している一定規模の自治体では、公立幼稚園の全面委託を受けた幼稚園と従来の私学助成を受けている私立幼稚園との間で平等な競争とかけ離れた状況が生まれ、過当な競争に巻き込まれ、結果として子どもにとってマイナスとなると指摘。既存の私立幼稚園のある場合はその幼稚園を活用し、公立幼稚園を民間委託するエリアに限っては私立幼稚園を含めた平等な競争環境の構築を要請した。
 日本私立小学校連合会(平野吉三会長=啓明学園理事長)は、公立学校には独自に学校改革を進める力がまだあることを強調、あくまで公立全体の努力で改善することを原則に、他の公立学校から学校改革の意気に燃える教員を集め運営する、その際、私学はノウハウの提供などの協力の用意があることを表明した。また学校法人への委託については、独自の建学の精神があることを挙げ、実施に少し無理があるとした。
 私学以外の団体からは、新しい制度の導入は慎重にといった意見や校長と学校運営協議会の責任と権限が不明確、地域のニーズとは何かとの意見も聞かれた。

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