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記事2004年2月3日 1923号 (2面) 
私大連盟学長会議開く
私大の教学運営で討議
人事システムや評価を中心に
 日本私立大学連盟(安西祐一郎会長=慶応義塾大学理事長・学長)は一月二十三日、東京・市ヶ谷の私学会館で平成十五年度第二回学長会議を開いた。「私立大学の教学運営」を主題に、加盟大学学長などによるディスカッションを行い、教員人事改革について深く掘り下げた。
 討議は▽教学運営体制の現状と教員人事システムの改革▽教員評価とそのフィードバック▽教員人事改革への具体的諸方策――の三点を柱に進めた。
 始めに、安西会長は「学長の皆様にとって『教員の人事』は、言いにくいが最も気にかかっていることではないでしょうか。活発な議論を期待しています。今年四月には、国立大学が法人化され、国公私立のイコールフッティングがやってきます。私大連の大学が、これからの大学競争時代をリードしていかなければいけません」とあいさつ。開催趣旨について、担当理事の瀬在幸安・日本大学総長が「今年は認証評価機関による第三者評価も始まる画期的な年。従来はタブーであった人事問題についても討議を願いたい」などと述べた。
 ディスカッションでは、奥島孝康・早稲田大学学事顧問や小野田武・日本大学総合科学研究所教授、ハンス ユーゲン・マルクス・南山大学長をパネリストに迎えた。
奥島氏が教員の任期制導入の例として「早稲田大学では客員教授や客員助教授を多用している。任期があるにもかかわらず、“客員”とすることで受け入れられた」とした。一方、「優秀な人が定年を理由に大学からいなくなるということは、あってはならないことであり、定年制は撤廃すべきだ」とした。
 小野田氏は企業に勤務した経験から大学の人事をとらえ、改革のカギとなる教員評価などについて話した。今後は年功要素が少なくなり、職務(職位・職責)要素が拡大。「職務を普通に成し遂げるだけでは処遇のアップはありえない」と話し、年俸制が普及する分、事業部など組織の業績は、個人に還元すべきであるとした。
 マルクス氏は海外の代表的な取り組みを紹介。アメリカの例として、テニュアとノン・テニュアが一般的な制度であり、終身雇用を前提とする日本とは異なるとした。
 テニュアとは、まず一年契約の助教授として採用し、七年以内に十分な業績を上げた場合に終身契約に移行する制度で、業績が不十分だった場合は大学との関係を打ち切られる。一方、ノン・テニュアは特別な事業のために二、三年契約で採用する教員で、企業等に勤務しながら専門関連の課目を担当するという。
 最近では、毎年の更新に代わり、一定期間の任期制へ移行する動きがあるとした。また、一九九四年に定年制を廃止したことにより、テニュアが高齢化していることが問題となっていると述べた。


人事改革について述べる安西会長

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