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記事2004年2月13日 1924号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向 教員の職制など意見交換
助教授・助手の職制
今後の在り方に論議集中
【大学の教員組織の在り方検討委員会】
 中央教育審議会大学分科会の大学の教員組織の在り方に関する検討委員会(座長=安西祐一郎・慶應義塾長)は二月五日、東京・三田で第五回の会合を行った。
 前回までに話し合われた大学教員の職の構成や若手研究者のための職など、各論点の意見整理を中心に進められた。
 助教授や助手といった若手の教育・研究者の職制について、今までに出た意見が示されると、活発な意見交換となった。
 委員から各分野の現状が示されたことで、学校教育法で必置とされている職制の中でも、ことに助教授・助手についての記述が、実態にそぐわないことが浮き彫りとなった。
 学校教育法第五十八条では「助教授は教授の職務を助ける。助手は、教授及び助教授の職務を助ける」となっているが、実際には「教授より立派な研究をしている助教授もいて、必ずしもアシスタントではない」「助手が事務職員のような仕事をしているケースもある」「教授、助教授、助手がフラットな関係で一体となって研究しているところもある」など、さまざまだ。
 ここで実態に見合った形に改正するとしても、国公・私立、大学の規模や専攻分野により実態に格差があるうえ、医学部など特殊な現場の事情から現在の体制を踏襲する必要がある分野もあり、職制を統一することは事実上不可能という認識がまとまりつつあった。
 「いくつか制度をつくり、いずれかを選ぶということにしたら、学校と同じ数の制度が必要になるかもしれない」という意見や、「いっそ職制の名称や、職務内容を規定する記述をなくしてはどうか」という意見も出されたなか、「最近助教授・助手、ポスドク(博士号取得後、正規のポストに就いていない研究員)を『若手研究員』として育成していくことが一種の流行となっているが、研究者という点にばかり重きをおかず、教育者としてということも考えていかなければ」と発言する委員もいた。今後は、これらの意見を整理したうえで、他省庁や中教審の他委員に意見聴取を行ったり、広く国民の意見を求めていく予定。

新試験の輪郭など討議
文科省が「論点整理案」提示

【大学入学資格検定部会】

 中央教育審議会教育制度分科会の大学入学資格検定部会(部会長=田村哲夫・渋谷教育学園理事長)は、一月二十九日、東京都内の会館で第五回会合を開き、新しい大学入学資格検定の輪郭について、文部科学省が提示した「論点整理案」を中心に審議を進めた。昨年九月の制度改正により、大学の個別審査で大学入学資格が付与できるようになったため、大検の高卒程度の学力を認定する試験との性格をより明確にし、各種職業資格の受験資格にも広く活用される方策を検討している。
 この日提示された「論点整理案」では、新試験について、「大学等への進学、就職いずれにも活用できるような高校卒業程度の学力を認定する試験とすることが必要ではないか。具体的方策については、学校教育制度との関連も考慮しながら今後検討していくべきではないか」などと性格付けしており、高校卒業資格の付与との文言は見られない。新試験の名称については高等学校卒業程度認定試験などが考えられるとしている。また現在は試験を受けることができない全日制高校在学生の受験について、「受験資格を与える必要があるのではないか」としている。
 新試験については、職業生活への接続なども考え高卒資格を付与すべきだとの意見と、高卒資格の付与は高校教育への影響が大きいとして、高卒程度の学力を認定する試験にとどめるべきだとの意見があったが、論点整理案は両者の考えに配慮したものとなっている。
 こうした論点整理案に対して委員からは、「高卒資格認定でもいいと思うが、この表現で妥当だと思う。ただし卒業程度の学力をどうするか詰めていかないといけない」など、大学等への進学、就職いずれにも活用できるような高校卒業程度の学力を認定する試験との整理に委員からほとんど異論はあがらなかった。ただし全日制高校の在校生に受験資格を与えるとの提案には、高校教育への影響から与えるべきではないとする意見が複数聞かれた。その一方で、「全日制、定時制を区別すべきではない」「全日制高校で中途退学者が増えたら高校教育の在り方が問題だ」との意見が聞かれた。今後は引き続き新試験の名称、試験科目、年齢制限、業務の外部委託の可能性を検討する。

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