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記事2004年12月3日 1962号 (1面) 
政府与党「三位一体改革の全体像」決定
高校等の私学助成存続
総額2.8兆円削減 就園奨励費補助も堅持
義務教育費国庫負担8.5千億削減中教審検討へ
政府・与党は十一月二十六日、三位一体の改革で廃止・縮減する国庫補助負担金を総額二兆八千三百八十億円とし、税源移譲に関しては平成十六年度分を含めて総額二兆四千百六十億円とするなど「三位一体の改革の全体像」を決定した。それによると全国知事会等が廃止を求めていた文部科学省の「私立高等学校等経常費助成費補助金」と「幼稚園就園奨励費補助金」については存続することが決まった。

 私立高等学校等経常費助成費補助金が存続したとはいえ、十二月二十二日にも決着する見通しの平成十七年度政府予算案編成では厳しい状況も予想される。
 三位一体の改革で常に最大の焦点となってきた義務教育費国庫負担金については、その根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持することとされたものの、教育水準の維持向上を含む義務教育の在り方については、中央教育審議会で検討し平成十七年秋までに結論を出すこと、結論が出るまでの 「暫定措置」として平成十七・十八年度に八千五百億円程度(平成十七年度分は四千二百五十億円)の減額を行うこと、減額相当分は税源移譲予定特例交付金(教職員給与費を基本に配分)として地方に渡すことが決まった。義務教育費国庫負担金については、これまでは平成十八年度末までに中教審で検討し結論を出すことになっていたが、それが前倒しされ、今後一年弱で結論を出すことになった。中教審の鳥居泰彦会長は十一月二十六日、都内で開かれた中教審総会後の記者会見で、「中教審は平成十七年秋というタイムリミットまで精いっぱい義務教育の在り方、それを支える費用負担の国と地方の関係について徹底した審議を行いたい」と語っている。
 また文部科学省関係では特殊教育就学奨励費負担金・同補助金、高等学校等奨学事業費補助金など十の国庫補助負担金に関して総額二百三十億円程度の削減も行う。
 公立学校施設整備費負担金・補助金(千四百十八億円)については、平成十七年秋までに出される中教審の審議結果を踏まえて決定する。
 それに対して税源移譲については、おおむね三兆円を目指す。すでに決まった(暫定分を含めて)のが二兆四千百六十億円程度だが、生活保護・児童扶養手当に関する負担金の改革、公立文教施設等や建設国債対象経費である施設費の取り扱いなどに関しては平成十七年度中に検討し結論を出す。
 地方交付税改革に関しては、平成十七・十八年度、地域において必要な行政課題に対して適切に財源措置を行うなど「基本方針二〇〇四」を順守することとし、地方団体の安定的財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保する。併せて二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支黒字化を目指して国と地方双方が納得できる形で歳出削減に引き続き努め、平成十七年度以降も地方財政計画の合理化、透明化を進める。また税源移譲に伴う財政力格差が拡大しないようにしつつ円滑な財政運営、制度の移行を確保するため、税源移譲に伴う増収分を、当面基準財政収入額に一〇○%算入する。

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