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記事2004年12月23日 1964号 (2面) 
就学人口の減少で収入減更に厳しく
平成15年度中心に過去5年間分析
私学事業団が「今日の私学財政」公表
短大法人は資産規模縮小 守りの経営シフト目立つ
日本私立学校振興・共済事業団(鳥居泰彦理事長)は、このほど、私立学校の財務状況を調査・分析した報告書「今日の私学財政」を公表した。平成十六年度版となる今回は、十五年度を中心に過去五年間(十一年度から十五年度)について調査・分析をしたもので、「大学・短期大学編」と「高等学校・中学校・小学校編」の二分冊。
 報告書によると、資金面ではまだ余裕を残しつつも、消費収支状況は就学人口の減少による帰属収入の落ち込み、収入の落ち込みに追いつかぬ経費削減などから年々悪化の傾向をたどっており、学校によっては深刻な状況を迎えている。長期的にみても就学人口減による収入減に歯止めをかけることは難しい状況だ。
 このうち大学法人の財政状態は、資産規模がわずか(〇・〇九%)ながら増加し、負債の減少も続いていることから健全な財政状況に変わりはないが、十五年度の消費収支差額(消費収入から消費支出をひいた額)は前年度に続き支出超過の状況。
 消費収支状況は、帰属収入の減少に合わせて人件費の抑制などに努力が払われているが、帰属収入の減少に追いつけない状況で、帰属収入に占める消費支出の割合はこの五年間に八八・〇%から九一・七%に増加。また基本金組み入れ額も減少を続けており、施設設備等への新規投資より借入金返済を優先している実態が浮かび上がっている。
 短期大学法人はこの五年間、資産規模が縮小、帰属収入は一三・九%減少している。経費削減も進まず、大学法人より厳しい状況。
 高校法人に関しては、一法人当たりの資産総額規模は漸増を続け問題視することはないとしているが、資産総額に占める現預金等の流動資産の比率が低下、また体力のあるうちに借金を返済しようとするなど守りの経営へのシフトが目に付く。消費収支状況は他の法人と同様だが、帰属収入で消費支出を賄えない法人が全体の四〇%にも達している。中学校法人、小学校法人は調査対象法人が極めて少ないが、小学校法人、中学校法人では生徒納付金で人件費が賄えない状況。

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