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記事2004年12月23日 1964号 (2面) 
IEA調査 小・中学の理数でも学力低下
算数、数学嫌い顕著
宿題する時間は国際的に最短
六十の国と地域の教育研究機関で構成する国際教育到達度評価学会(略称=IEA、本部=アムステルダム)は、十二月十四日、「国際数学・理科教育動向調査結果」を発表した。この調査は数学・算数、理科の教科に関して、小学校四年生と中学校二年生を対象に、学校のカリキュラムで学んだ知識や技能をどこまで修得しているかを測る調査。昨年二月に実施。
 それによると、日本は学力低下傾向が顕著で、勉強が楽しいと思う子供や勉強時間が参加国平均より低く、テレビや・ビデオを見る時間が最も長いこと、学習意欲が低く、学習習慣も身についている比率が低いことがわかった。成績の上位層も学力低下傾向で、先のOECDの調査結果とともに文部科学省では深刻に受け止めており、学習指導要領の見直しを含めて来年度から世界的学力水準の回復に向け、必要な施策を展開していく方針だ。中教審でもこの問題が初等中等教育分科会等で取り上げられ、「勉強を楽しいと思っていない。単純に学習時間を増やすだけではだめだ。工夫が必要」「動機付けこそが大事」といった意見や、受験対応に配慮した授業への批判の声も上がった。
 IEAの今回の調査結果によると、小学校の算数では前回の三位(五百六十七点)から今回は、同じ三位(五百六十五点)と大きな変動は見られなかったが、小学校の理科は、前回の二位(五百五十三点)から三位(五百四十三点)に低下していた。また中学校の数学では、前回の五位(五百七十九点)から同じ五位は保ったものの、点数は五百七十点に下がった。中学校の理科は前回の四位(五百五十点)から六位(五百五十二点)に後退していた。日本を上回る上位国は、シンガポールや香港、韓国、台湾等。
 また中学二年生に数学が楽しいかとの質問では、「強くそう思う」との生徒の比率は九%で国際平均の二九%を大きく下回っている。数学の勉強に対する自信に関しては、中学校二年生で高いレベルの割合が一七%で国際平均の四〇%を二三ポイントも下回っていた。
 学校外でのすごし方(中学校二年生)では、宿題をする時間が一・〇時間で四十六か国中最低。家事の手伝いは〇・六時間(国際平均は一・三時間)、テレビやビデオを見る時間は二・七時間で四十六か国中最多だった。

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