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記事2004年12月13日 1963号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
教員養成、免許制度で審議
教員養成の課程認定で諮問
教育実習法制化を求める意見も
【教員養成部会】 
 中央教育審議会初等中等教育分科会の教員養成部会(部会長=國分正明・財団法人教職員生涯福祉財団理事長)は、十一月三十日、東京都内で第二十六回部会を開き、今後の教員養成・免許制度の在り方について審議した。また文部科学大臣に代わり銭谷眞美・初等中等教育局長が、「平成十六年度教員の免許状授与の所要資格を取得させるための大学の課程認定について」を同部会に諮問した。平成十六年度課程認定を申請したのは、大学二百二十六校、大学(通信課程)五校、短期大学八十三校、大学院百十四校、大学専攻科三校の、合わせて四百三十一校。この中には今年七月に創設された「栄養教諭」に係る課程認定申請(百七十四大学)も含まれている。初めての申請となった大学・短大は二十九校。これらの申請は十六年度中に審査され三月中に同部会から文科相に答申される予定。
 今後の教員養成・免許制度については、文部科学省の戸渡速志教職員課長がこれまでに委員から出された主な意見や検討の視点例等を説明、その後、委員による自由討議となった。自由討議では教員免許更新制や教員養成、教育実習などに関してさまざまな課題が指摘された。このうち教員免許に関しては、「教職科目を履修しただけで免許を与えるべきではない。免許は、採用試験を経て一年間の条件付き採用期間後、目標(の水準)に達した人だけに与えるべきだ」「教員免許でどういう能力を担保しているかはっきりさせるべきだ。小学校の教員がオールマイティーに教える仕組みが破たんしている。体育などでは限りなくインストラクターや非常勤講師が増えている」「医療系資格のように国家資格にすべきだ」などの意見が聞かれた。また教育実習に関しては、「教育実習制度を法的に確立し、各小・中・高校に教育実習生を受け入れる義務を課すべきだ。学生が出身学校で教育実習をすることは甘えが出てよくない」といった意見が出された。
 さらに教員免許更新制に関しては、教員免許は取ったが、一定期間、教壇に立っていない人は教員免許が失効することや、まず校長の評価とペーパーテストでふるいにかけ、上位三分の一は待遇を引き上げ、下位三分の一は待遇を引き下げ、研修を課すこと。ある段階以下の教員については利害関係のない教員の前で授業をしてもらい、生徒の目でも評価するといった改善案も提案された。このほか教員免許更新制再検討の理由が分からないとの意見もあったが、「安易な導入は教職人気を下げる。教職の魅力維持についても議論が必要だ」「教職希望者が減ってきている。なかなか教職に就けないことから教職免許の魅力がなくなってきている。また複数免許を取っている人が非常に多い。更新制実施は技術的に難しい」といった意見も聞かれた。

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