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記事2004年12月13日 1963号 (2面) 
義務教育改革に修正求め緊急提言
規制改革・民間開放推進会議文科省に改善要求
教員養成専門職大学院制度化は不適切
免許更新制も問題視
規制改革・民間開放推進会議(宮内義彦議長=オリックス株式会社取締役兼代表執行役会長・グループCEO)は、十一月三十日、文部科学省の進める義務教育改革に修正を求める「緊急提言」を公表した。
 緊急提言は具体的には、(1)教員養成のための専門職大学院の制度化を公的に図っていくことは不適当。特に専門職大学院の修了を、教員免許や教員採用の要件、あるいは優遇条件とすることは本来適切な資質を持つ者をかえって排除するあしき参入規制そのもの。教員専門職大学院は諸外国にも例がなく、そのような大学院修了者がそうでない者よりも教師として優れているという前提は成り立たない。
 (2)教員免許更新制の導入は、免許の強化につながるもので重大な問題を抱えている。現行の教員免許制度自体の問題点の検証を踏まえ、教員任用の仕組みを含めて制度を抜本的に見直す必要がある。常勤教員採用に当たって教員免許を要求すること自体、免許はなくても優れた教育的資質を持つものが教壇に立つことを阻んでいる。
 (3)学校長等への権限委譲等のためには、成果について当事者に厳重な責任をとらせる仕組みが必要。成功や失敗の評価は、教育改革の主役である生徒・保護者たちによって判断されるべきだ。
 (4)「教育バウチャー制度」について、どのような工夫・制度設計を行えば、わが国に適した望ましい制度が実現できるのかとの前向きな視点で義務教育改革の一環として速やかにかつ集中的に検討を深化させる――の四点。
 今回の緊急提言は、八月十日、河村建夫文部科学大臣(当時)が発表した「義務教育の改革案」にそって進められている文部科学省の義務教育改革に修正を求めたもの。
 河村大臣の改革案は八月二十四日の経済財政諮問会議で報告されたが、大きな反対はなかった。
河村大臣の後を受けた中山成彬文部科学大臣も十一月四日、同会議に義務教育改革案を引き継ぐ形で教員養成における専門職大学院の設置、教員免許更新制の導入などを提案している。これより先十月二十日には中央教育審議会に教員養成における専門職大学院の設置と教員免許更新制が諮問されており、現在は教員養成部会を中心に検討が続けられている。さらにこれらの課題は小渕内閣時に設置された教育改革国民会議が推進に向けた検討を提言していた。

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