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記事2004年11月23日 1960号 (2面) 
転機に立つ私立大学テーマに研究会
研修福祉会 教員の意識改革で事例報告
効果高い授業相互評価
 私学研修福祉会(在幸安理事長=日本大学総長)は十月二十五日と二十六日の二日間、アルカディア市ヶ谷で「転機に立つ私立大学――教員の意識改革」をテーマに、第二十七回私立大学の教育・研究充実に関する研究会(大学の部)を実施した。
 一日目はお茶の水女子大学の本田和子学長と、千葉大学の磯野可一学長から、国立大学法人化の現状と大学経営に関する意見発表を聞いたのち、日本私立学校振興・共済事業団の佐野清克・私学経営相談センター長によって、学校法人の経営改善方策と入学志願動向をテーマに基調報告が行われた。さらに、研究会運営委員長の清水司・東京家政大学理事長が「国立大学の独立法人化と私学」をテーマに講演した。
 二日目は、国際基督教大学の絹川正吉前学長、明海大学・熨q翔学長、文部科学省高等教育局私学部私学行政課の大槻達也課長が講師となり、シンポジウムが行われた。
 絹川前学長は「学校教育法などにより、大学の質を担保するのは教授会であると規定されていることを認識する必要がある」と指摘。「理事会の責任は、教授会に質の担保についての責任をとらせること。その中で学長は、理事会と教授会のアンビバレントな関係を担う存在」と述べた。
 熨q学長は「転機に立つ私立大学を、危機に立つ私立大学にではなく、好機に立つ私立大学とするためには、教育機能の充実、ひいては教員の意識改革が不可欠」との考えから、教員の意識改革の進め方について、明海大学の改革を例に話を進めた。同大学では、教員選考を教授会の意見聴取と理事長・学長の合同審査で行うこととしたほか、教員の活動状況調査・選考基準を見直し、採用や昇任に際して「教育業績調書」を提出させるなどの改革を行った。また、教育に関する評価を昇任人事に反映させている。
 大槻課長は、日本私立学校振興・共済事業団がとりまとめた、学校法人の経営改善に関するアンケートの結果から、私立大学で行われている取り組みの中で、教員による授業相互評価は、実施する学校が少ない割に効果があがっているとされていることを示したほか、第三者評価、私立学校法の改正趣旨などを解説した。

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