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記事2004年11月23日 1960号 (8面) 
ユニーク教育 (137) ―― 郡山女子大学附属高等学校
地域の中学と教育連携
教養講座で感性豊かな生徒育成

関口校長

 緑多い自然環境に恵まれた郡山女子大学附属高等学校(関口富左校長、福島県郡山市)に平成十六年度新入生三百九十一人が入学、高校生活へ第一歩を踏み出した。同校は「尊敬・責任・自由」を建学の精神とし、「私を創る」という努力目標を掲げ、生徒一人ひとりの特性を伸ばすための教育を進めている。この努力目標に向かって、カリキュラムあるいは、学校行事など、さまざまな場面で取り組んでいる。
 同校は普通、音楽、美術、食物の四科を設置しているが、平成十五年度に普通科ではコース制を導入、生徒は入学を希望する際、自分の特性に合ったコースを選ぶことができる。一年次から興味・関心があること、やってみたいことに多くの時間を費やしてやろうという思いからだ。コースは総合学芸、スポーツ健康系、外国語系・英語コミュニケーション系、自然科学系、人文学系の五つに分かれる。
 同校の教育で大きな特色のひとつに、二十七年前から中学校との連けい研究会「中学校・高等学校教育連けい研究会」を実施してきていることだ。
 「二十一世紀を担う生徒一人ひとりが、発達段階に応じて内に秘めている個性や能力を伸ばし、生涯を通じて自己を磨き得る資質を培う教育を、共に目指したい」という趣旨から、この研究会は発足した。
 そのころは、なぜそんなことをやるのだ、私立学校だから生徒募集のためにやるのだ等の意見がかなりあったが、生徒の発達段階に応じて、中学・高校がどのような連動をすれば、生徒本人の個性の発揮につながるかという思いが、一般的に理解され継続されている。
 今年九月二十九日に実施された研究会では「一人ひとりの個性を伸長し、各人の特色を発揮するために」を主題に、公開授業、それについての意見交換会、全体会、そして関根明伸・郡山女子大学講師による「道徳教育の世界的動向について――アメリカ・韓国を中心に――」と題する講演が行われた。公開授業では「国語総合」「読書」「倫理」「数学」「生物」「総合体育スポーツ」「家庭総合」「器楽・声楽」「調理」「クラフト」など、十二科目にわたって行われた。
 また、同校が力を注いでいるのが「教養講座・芸術鑑賞講座」だ。今でこそ、各学校で内外の一流の芸術家を招いて生徒に本物の芸術に触れさせようという試みは行われているが、同校の講座は創立当初から始められている。地方の学校が教養・文化の点で、中央の学校に比べて不足しているから、できる限り教養をつけさせようという願いから続けられている。
 「感動は全身で感じるもの。これは人間として非常に重要なことです。そこに自立したいという意識を与えたい。これこそトータルの人間形成ではないだろうかと思います。『感性の庭に知の花を咲かせたい』ということが、本校の特色です」(第二十八回「中学校・高等学校教育連けい研究会」での関口校長あいさつ)
 九月二十六日に開催された「第百四十二回芸術鑑賞講座」は狂言と能を合わせた「能楽・梅若六郎」の鑑賞だった。梅若六郎氏は現代を代表するシテ方観世流能楽師で、重要無形文化財総合指定を受けている。同校では平成十一年、二十一回芸術鑑賞講座で新作能「空海(弘法大師)」を演じている。
 今年四月二十二日、郡山開成学園創立五十八年記念式典が華やかに行われた。同学園はますます、生徒一人ひとりの個性を発揮させ、感性豊かな生徒の育成に力を注いでいく方針だ。


理科の実験(総合学芸コース)

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