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記事2004年11月13日 1158号 (1面) 
国庫補助制度堅持求め全国大会 中高連、日私小連全日私幼連が開催
日本武道館に一万人超える父母ら参集
私学振興は国の責務
教育費の保護者負担軽減を
日本私立中学高等学校連合会(田村哲夫会長=渋谷教育学園幕張中学高校理事長・校長)、日本私立小学校連合会(平野吉三会長=啓明学園理事長)、全日本私立幼稚園連合会(三浦貞子会長=白ゆり幼稚園長)の三団体は十一月五日、都内の日本武道館で私立高校等に対する国庫補助制度の堅持を求める緊急全国大会を開催した。大会には全国から一万人を超える私学関係者や保護者が出席し、来賓の中山成彬・文部科学大臣や与党・自民党の国会議員に国の私学助成存続を強く訴えた。

 大会冒頭、私学三団体を代表して挨拶に立った田村会長は、戦後五十年間で溜(た)まった垢(あか)や汚れを三位一体の改革で洗い流すことは理解できるが、赤ん坊(未来を支える子供たちの教育)まで洗い流してはだめ。国が子供たちの教育に関与しなくなるというわが国の改革は欧米先進国の改革に逆行するとして、「国の教育への支援・関与は絶対外せない」と強く訴えた。
 また私立高校等の保護者を代表して新井智子さんが、公費の違いから私学の保護者は重い授業料負担をしていること、自由な進路選択ができるよう公私立学校間の公費支出の格差解消、保護者負担がこれ以上重くならないよう、また都道府県間の格差がこれ以上広がらないよう、国庫補助制度の堅持を強く要請した。
 これに対して中山成彬文部科学大臣は、「三位一体の改革については地方案を真摯(しんし)に受け止め検討している」とする一方で、「人材は日本の宝。昨日(四日)の経済財政諮問会議でも諸外国が国家戦略として教育に力を入れようとしている時に、逆のことをしていいのかと申し上げた。(国の)私学助成については絶対守らなければならないと強く思っている」と力説した。
 また前文部科学相の河村建夫・自由民主党政務調査会副会長は、「小泉改革の総仕上げは教育改革でなければいけない。地方団体が財源をもらいたい気持ちは分かるが、国と地方の役割を議論せずここまで来たのが間違い。国庫補助廃止は断固粉砕しなければいけない」と私学助成堅持への強い意気込みを表明した。
 安西祐一郎全私学連合代表(慶應義塾長)も「三位一体の改革では教育的観点からの議論がなく私学振興の根幹の国庫補助制度が廃止されようとしている。私学全体として見過ごせない。教育の最終責任は国が負うべきで、とりわけ教育立国を支える私学教育の振興は国の教育施策の根本的柱である」と訴えた。
 最後に「国は、私立学校に対する国庫補助制度を堅持することによって、私立学校の振興と子供たちの修学上の経済的負担の軽減に対する意思と責任を明確にすべきだ」との緊急決議を採択。決議文はその場で自由民主党の遠藤利明・文部科学部会長に手渡された。
 遠藤部会長は「皆さんの期待に応えられるよう努力したい」と語った。 このほか大会の開会前に石原慎太郎東京都知事が駆けつけ、十分な議論もせずに進められる三位一体の改革を強く批判、国民的な議論の必要性を力説。また宮城まり子・ねむの木学園理事長は困難の末にわが国で初めての肢体不自由児養護学校を設立した経緯を振り返りながら、私学の灯を消してはいけないと訴え国の補助の堅持を願った。


日本武道館に参集した一万人を超える父母ら

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