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記事2004年1月3日 1921号 (2面) 
中教審の審議動向――大学分科会  6年制学部を創設報告
特区の大学設置 運動場・空き地不要
薬学教育 大学院は博士課程のみ設置
 中央教育審議会の大学分科会は平成十五年十二月十八日、東京・霞が関の経済産業省別館で第三十回の部会を開いた。「薬学教育の改善・充実に関するワーキング・グループ」の報告や、文部科学大臣が第三者評価機関を認証する際の基準(細目)、構造改革特区での大学設置基準の特例措置などを議題に検討した。

 このうち、薬学教育のワーキング・グループは修業年限の延長に伴う設置基準について、六年制学部の場合▽卒業要件は百八十六単位以上で早期卒業は不可▽専任教員数は教養教育や専門教育、実務実習の充実を考慮した増員が必要▽学位は「学士(薬学)」。なお四年制学部卒業者は「学士(薬科学)」とするなどを報告した。
 六年制学部を基礎とする大学院については▽博士課程のみ。標準修業年限四年以上▽学位は「博士(薬学)」。なお四年制学部を基礎とする大学院の学位は「修士(薬科学)」「博士(薬科学)」▽六年制学部卒業者と同等以上の学力のある者にも入学資格を認める。「飛び入学も可」などと検討の結果を報告した。
 委員からは「薬剤師や研究職など進路の変更に柔軟に対応できる体制にしてほしい」「実務実習は受け入れる側にも負担となる。制度として明確にする必要がある」などの意見があった。
 ほかに、第三者評価機関を認証する場合の基準については「大学評価基準が、大学の教育研究活動等の総合的な状況について評価を行う機関別評価に関しては、少なくとも教育研究上の基本組織、教員組織、教育課程、施設設備並びに事務組織について、専門職大学院評価に関しては、少なくとも専門職大学院の教員組織、教育課程及び施設設備について、評価を行うものとして定められていること」などの部分を追加した案を提示した。
 委員からは「大学設置基準に基づいて、それぞれの評価機関が自由に設定できるようなフレキシビリティが必要。案の追加部分はない方がよい」「自律性を促すためにも、項目は最低限に抑えるべきだ」「私立大学や短期大学は個性を大切にしている。特色を評価するには一定の項目では難しい」などの指摘があった。
 構造改革特区での特例措置については文部科学省が、大学設置の際に運動場・空き地を不要とする案を提示した。現行では敷地内や隣接地に運動場や、学生の休息する空き地を設けることを必要としているが、体育館の借用やスポーツクラブとの提携などで同等の機能を得ることができることから特区では不要とした。校地や校舎が自己所有でなくてもよいとする特例措置と組み合わせることにより、大学の設置が容易となり、社会人の再教育など社会的ニーズに応える大学の設置等が促進する効果を期待している。
 今後は中教審の答申を得て、今年度中に関係法令を整備し、四月からの特区申請の受付開始を予定している。

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