こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2004年1月23日号二ュース >> VIEW

記事2004年1月23日 1922号 (11面) 
新校長インタビュー (95) ―― 成城学園高等学校
校長 大川 公一氏
独立自尊の精神を貫く
失敗恐れず良いことを実践


 成城学園(東京都世田谷区)は幼稚園、初等学校、中学校、高等学校、大学、大学院までを同じキャンパスに擁し、その教育理念は同学園創立者の澤柳政太郎氏のいう、独立自尊の精神を持って、自らの個性を伸ばすという言葉に表れている。成城学園高等学校(大川公一校長)が実践している教育はその理念の下に、@個性尊重の教育A自由な教育環境B少人数教育C国際理解教育の四つに集約される。
 個性尊重の教育は「自由研究」や「課外教室」など、生徒一人ひとりの個性や資質に合わせて自由に選択できるユニークな講座にみられる。二、三年生の選択科目である「自由研究」では、教科を越えた分野の研究や体験をしたり、作品制作をしたりする。講義、発表、観察、フィールドワーク、実験実習、見学、個人レッスンなど、さまざまな方法を取り入れている。
 「課外教室」は「総合的な学習の時間」の一環として実施されている。クラスや学年を越えて、興味や関心を同じくするもの同士が共に学ぶのだ。旅、アウトドアスポーツ、美術館めぐり、演劇鑑賞など多彩なコースが設けられている。
 「平成十七年四月から中学と高校の組織を一つにして、中高一貫教育を進めていきます。今年の四月から具体的な準備に取り掛かります。十三歳から十八歳までの大切な六年間を、生徒一人ひとりに対し丁寧な学習指導するためには、やはり一貫した教育が必要です」
 大川校長が強調するのは「社会に出ても最低限必要な学力を身につけていること」だ。そのためにさまざまな試みにより学力向上を目指す。
 「教師は動かない壁になることです。しかし、この壁はあくまでも血の通ったものでなければなりません。生徒はこの血の通った壁を敏感に感じ取っているはずです」
 教師は、生徒が自分を越えることを願っている。越えられない者には、教師のフォローが必要だと言う。「教師はマニュアル的な技術だけを備えていても駄目で、学校は授業を通して生徒の学力を身につけさせるのですから、授業を面白く充実させなければなりません。そして最終的には生徒との信頼関係が必要です」と熱く語る。
 「失敗を恐れることなく、いいと思ったことはやってほしい」と、大川校長は教師を勇気付けることを忘れない。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞