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記事2004年1月23日 1922号 (12面) 
ユニーク教育 (125) ―― 福徳学院高等学校
実学重視、自立する人間
普通科、食物科、保育福祉科で成果

首藤校長

 福徳学院高等学校(首藤久登校長、大分市)は平成十三年四月、女子高校から男女共学校に変わり、今年で四年目を迎える。「実学を重んじ、自立できる人間の育成」を建学の精神に掲げる。この精神は「自分の足もとをしっかり見つめ、自分の力を十二分に発揮し、自分で考え自分で道を切り開き、自信と誇りを持って人生を歩き、優しい中にも困難に打ち克(か)つたくましい人間を育てあげる」ことを意味している。
 この実学重視・自立尊重の精神は同校で設置している普通科、食物科、保育福祉科に十分に表れている。
 普通科は進学と個性創造の二コースに分かれる。このうち、個性創造コースは、基礎学力の充実を図るとともに個性を伸ばす二つの類型(美容類型と創造類型)に分かれている。
 美容類型は美容専門学校と提携して、授業に美容科目を取り入れることで、同校を卒業、半年後に実施される美容師国家試験(八月上旬に実技試験、九月上旬に学科試験)に挑戦できる。提携先の美容専門学校通信課程に在籍すること(いわゆるダブルスクール)で、美容師国家試験の受験資格を取得できるというわけだ。通信課程では、実技面が美容実習やスクーリングで、学科面がレポートの提出および美容総合の授業により実力をつけさせるシステムになっている。実技として、一年ではカッティング・ワインディング(パーマ)、二年では、ローラーセッティング(パーマ)・オールウェーブセッティングなどを身につける。三年では、これらを速く正確にできるように特訓する。
 創造類型では進学や就職に必要な基礎学力をつけながら、さまざまな実習を通して、自分の個性を創造する。この中には、手話を取り入れたボランティア実習、表現力を豊かにする造形美術やフラワーアレンジメント実習、コンピュータ実習などが含まれている。ほかには、簿記や流通・経済、接客などの学習も取り入れ、社会に出て即戦力となるための実力を身につける。
 食物科では、同校が厚生労働大臣指定調理師養成施設の一つにされていることから、卒業時に調理師免許を取得できるようになっている。三年次には栄養士資格を取得するために進学を目指す授業と、調理技術を向上させるための授業を選択できる。卒業後はホテルや病院などで調理師として働くことができる。また、大学や短期大学に進学した後、管理栄養士などの資格を取得して食のスペシャリストを目標にする者も多い。
 保育福祉科では、保育、幼児教育、福祉、歯科などの資格の取得を目標に、大学、短期大学、専門学校への進学を目指す。この中には保育と医療福祉の二つのコースがある。医療福祉コースでは、福祉、歯科、介護、看護のスペシャリストを目標にしている。毎年、六月には医療福祉コースの戴帽式が行われる。歯科アシスタントの卵たちは憧れのナースキャップを頭にのせてもらった後、手にしたろうそくに灯をともしていく。これによって、生徒たちは歯科医療に携わっていく使命の重さを実感するのだ。
 同校では昨年四月から新しい試みとして、教師の授業評価を導入している。生徒と教師の共通目標を“お互いの理解と絆(きずな)”と決め、充実した授業を行っていこうという趣旨だ。
 「生徒や保護者の希望に応えることができるし、これによって、一つの方向性を示すことができたと思います」(坂田一郎教頭)と授業評価に期待をかけている。


戴帽式で感激をかみしめる生徒

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