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記事2003年9月3日 1902号 (3面) 
短期大学パイオニア (2) ―― 香蘭女子短期大学
ユニット制導入 数科目ずつ統一
3学科統合の新学科で多様な選択
更にもう一学科 拡大
  香蘭女子短期大学(山内昭人理事長)は、学科や専攻ごとにあらかじめ学校(教員)側から提供していた、いわば「定食方式」のカリキュラムを改め、平成十五年度から既設の三学科を統合し、これによって可能となった多彩な科目群を学生が自由に選択できる、いわば「バイキング方式」のカリキュラムを導入したが、十六年度からはさらにもう一学科を新方式のカリキュラムに改めることにした。
 同短大には十四年度までは被服科(百二十五人)、家政科家政専攻(八十人)、同食物栄養専攻(五十人)、保育科(百二十五人)、秘書科(百人)、国際教養科(百人)が設置されていたが、どの学科・専攻もそれぞれの専門分野の科目を中心にカリキュラムを組んでいた。しかし、最近の学生は、一つの専門分野の枠に納まり切れない多様な興味、要求を持っている。そこで同短大では家政科家政専攻、秘書科、国際教養科の三つの学科・専攻をひとまとめにして、十五年度からライフプランニング総合学科という一つの学科に再構築した。三学科・専攻の入学定員は二百八十人だったが、新学科では二百三十人とし、余剰分は従来から人気のある他学科へ振り分けた。
 ライフプランニング総合学科では、まず専門分野を「フィールド」という名で区分し、その下に科目群ともいうべきいくつかの「ユニット」を置いた。各ユニットは数科目ずつ計八単位で統一されている。
 例えば「心理学フィールド」は私らしさ探求ユニット(パーソナリティ論、自己心理学、自己理解促進演習、社会心理学、グループ・プロセス演習)と人間理解ユニット(臨床心理学、パーソナリティ測定法、人間環境心理学、集団と人間、グループ・アプローチ演習)で構成され、この新学科には十二フィールド、三十五ユニットが開設されている。
 つまり従来の三学科・専攻の開設科目のほとんどが新しい方式のカリキュラムの中で残され、学生は自分の将来、関心、取得したい資格等を念頭に自由にユニットを選択することになる。短期大学基準協会は、短期大学の今後の発展方向を示すものとして、社会人の受け入れ等を視野に入れた「地域総合学科」の認定制度をつくったが、このライフプランニング総合学科はその第一号となった。

将来の進路見据え ライフプラン練る

 平成十五年度入学生の間では、美容芸術的な「トータルビューティ」、和装やフラワーアレンジメントが学べる「生活文化」、そして「オフィスワーク入門」、「ビジネスコンピューティング」「英会話ステップl」等のユニットに人気が集まっているが、学生たちは趣味的なユニットに興味を示すかたわら、自分の将来の進路(就職)もしっかり見据えてライフプランを練っており、意外に堅実な選択傾向に、短大側も学生たちのニーズにある程度はこたえることができたのではないかと喜んでいる。
 短大側ではこの新方式をできるだけ拡大したいと願っているが、既設の保育学科、食物栄養学科では、幼稚園教員・保育士、栄養士等の資格取得の必須科目で縛られ、選択の余地は少ない。そこで第二弾として、十六年度から、被服学科にこの「フィールド&ユニット方式」を導入し、いわばファッションの総合学科として衣替えすることにした。被服学科では「スタイリスト」、「デザイン」、「プレゼンテーション」、「ファッションビジネス」、「パターンメイキング」、「プロになるための服作り」、「楽しい服作り」および「特別」の八フィールドを置き、その下に六単位でくくった、例えば「グラフィックデザイン」、「アパレル企画」、「パターンメーキング基礎」、「アパレルI」、「キッズファッション」、「検定・就職支援」など三十三のユニットを開設している。
 十五年度はライフプランニング総合学科の入学生は入学定員を越えた。厳しい環境に置かれている短期大学の、生き残りのための一つの試みである。
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