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記事2003年9月13日 1903号 (1面) 
公立学校管理運営を民間委託に検討要請 中央教育審議会
高校と幼稚園を対象
義務教育費国庫負担検討の作業部会設置
  中央教育審議会の教育行財政部会(部会長=木村孟・大学評価・学位授与機構長)は九月十一日、東京・虎ノ門の虎ノ門パストラルで第五回会合を開いたが、この中で事務局(文部科学省)から「構造改革特区における公立学校の管理運営の民間委託について高校と幼稚園を対象に検討を行い、十二月までに結論を出してほしい」との要請があった。委託先をどうするのか、どういう条件付けで行うのかなどが検討されることになるが、議論の段階では高校と幼稚園にとどまらず、小・中学校(義務教育)についても検討されることになる。

 こうした要請に対して中教審委員からは(株式会社等に委託した場合)、「何か(問題が)あった場合の責任の所在が明確になっているのか。特区といえどもかなり慎重にお願いしたい」「自由化ではモニタリング(検査官)が相当数必要となる。それをどうするか考えてほしい」などの意見が出された。
 公立学校の管理運営の委託については、検討の視点等をまとめた「検討メモ」が同省から提示され、説明された。
 検討の視点では、委託の目的、委託事項の検討、一部委託の検討、包括的委託に関する検討課題、受託者の範囲、学校段階ごとの検討、私立学校との関係が指摘されている。この検討メモに関しては代表権、所有権の登記、減価償却等をどう扱うのかの視点も必要だとの意見も聞かれた。
 この日はこうした検討に先立ち、学校の管理運営の在り方について藤田英典・国際基督教大学教授から意見を聴取した。
 藤田教授は、日本の学校教育は本当に時代遅れで根本的な改革を必要としているのかとの疑問を提示、公立学校への不満や不信があることは事実だが、それらの多くは制度改革よりは実践改革、実践を支える条件整備でよりよく対応されるとした。また教育バウチャーやチャータースクールなど学校選択制(擬似市場的な教育制度構想)については、学校の序列化・階層的差別化につながるなどとして批判的な見解を示した。また政治主導の改革と教育特区については、矢継ぎ早のラジカルかつ矛盾に満ちた改革・施策で政策評価もないとした。
 この日の部会では、このほか、義務教育国庫負担制度の在り方、県費負担教職員制度の在り方、都道府県と政令都市との役割分担(主として経費負担、学級編制等)を検討する「教育条件整備に関する作業部会」を教育行財政部会内に設置することを決めた。委員は八人。
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