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記事2003年9月13日 1903号 (2面) 
生涯学習の振興はトップの啓蒙重要 中教審生涯学習分科会取り組み聴取
得意分野で講座提供
若者の参加増、コスト課題に
  中央教育審議会の生涯学習分科会(分科会長=山本恒夫・大学評価・学位授与機構研究部教授)は九月四日、東京・霞が関の文部科学省別館で第二十一回会合を開き、稲田繁生・佐賀県立女性センター・佐賀県立生涯学習センター館長と、柵富雄・富山インターネット市民塾推進協議会事務局長(同分科会臨時委員)から生涯学習振興の取り組み等を聴取した。

 この中で稲田館長は、地方自治体での生涯学習振興はトップに立つ人の考えに大きく左右されることから地方自治体のトップの啓発が重要で、そのため市町村長、教育長、議員にまず講座に参加してもらっていること、コストの問題については真剣に考えており、中身のレベルアップを図りながらコストダウンを進めることが必要で、九〇%の予算で一二〇%の事業を行うには、人材が重要で地方自治体の担当職員によるところが大きいなどと指摘した。
 中教審の委員からはコストについての質問などが出された。パソコン講習など一部の講座は有料だが、大半の講座は無料。そこで稲田館長は「すべてを公費で賄うべきなのか。ある程度の受益者負担はやむを得ない」との考えを示した。また「生涯学習の講座はあらゆる人を対象に考えているが、若者の参加を増やしていくことが今後の課題だ」とした。
 一方、柵事務局長は、同協議会が企業等の支援を受け、行っている「インターネット市民塾」の取り組みを報告した。「インターネット市民塾」は、ウェブ上に開設されているポータルサイトで、一般の市民あるいは大学、企業等が得意分野などで講座を開設、それを希望者がパソコンを通じて受講するもの。受講料は講座提供者の判断に任されている。例えば「親子ふれあいロボット教室」「元気・やる気を引き出す講座」「夢のマイホーム納得大作戦」「実践的な考課スキルを身に付ける人事考課基本コース」などがあり、講師は必ずしも富山在住ではない。受講者は他の生涯学習講座ではあまり見られない四十代の男性が最も多く、女性では二十代が多い。家に居ながら講座の進行がパソコンを通じてできるという利点から自主講座を開設している人の職業は会社員、看護師、学生、作家など実にさまざまだという。
 また受講者が一年後には講座の提供者になることもある。こうした取り組みによって地域の「知識財」を顕在化できる、元気な市民を集め、活動の場を提供できるなどの長所が確認できたが、半面、運営の自立、市民講師の育成などの課題も報告された。
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